見出し画像

メキシコ空港にて

カナダでよく写真撮りに行ってた子が、故郷メキシコに帰国する事になった。

凄く頭のいい男の子だった。プライドも高かった。変わり者だった。

私達お互い変わり者だったのかもしれない。

その子も写真に熱中していた。

私と同じ孤独だったのかもしれない。


折角だから帰国について行って、メキシコ写真旅行をする事にした。

安いチケットの関係でカナダ、ヒューストンを介して、そしてメキシコ北部

謎のサルティヨという町からメキシコに入国した。

そこからバスを使って、南の首都メキシコシティを目指した。

メキシコ縦断写真の旅。


メキシコはカラフルだった。

それが私のメキシコの印象。

お互い、貧乏学生なので、安いバッパー泊まりながら、バス路線に合わせてメキシコを目指した。

メキシコの治安は悪い。

比較的安全な昼間に写真を撮って、夜行バスで次の町へ移動した。

夜行バスもスリが多いから、交代で寝た。

寝る方が窓際に座って寝て、起きて荷物番が通路側に座った。


旅も終わりかけの、メキシコシティ目前の町でその友達と大喧嘩した。

喧嘩の理由は覚えてない。

カナダにいた時から、よくくだらない事で喧嘩した。

多分、言語でのすれ違いもあったのだろう。

でもお互い写真が好きだからまたつるむ。


その大喧嘩した時に、私が解散!と言った。

一人でメキシコシティまで行く!

と宣言して去った。


当然行く当てはない。バッパも自分で探さないといけない。

幸いその時、私は英語が話せたが、メキシコの小さな町では英語が通じない。

みんな早口のスパニッシュ。


でも何とかなるっしょって適当に歩いてた。

ケータイのsimもwifiもなくて写真撮りながら適当に歩き回った。


そしたら、偶然彼に会った。

お互い無言で、どちらも謝らず二人でバッパーに戻った。

私は疲れていた。お腹も空いてた。

パスタ作るから、食べる?って聞いたら

彼は泣き出した。

泣きながら、治安も悪いとこだし、無事に私を見つけられてよかったって言ってた。

申し訳なく思った。

後で聞いた話、私は歩いてたつもりでもほぼ同じとこをクルクルしてたらしい。


数日後、私達は目的のメキシコシティに着いた。

私達のメキシコ縦断の旅は終わった。

さようなら、カラフル・メキシコ


私達ははメキシコ空港で、私のカナダ戻り便まで時間を潰してた。

相変わらず私は写真を撮っていた。

彼はゴミ箱の近くの石に腰掛けてボーッとしてた。


搭乗間際に彼が

「We are PFF」

と言った。

私は、何PFF? と搭乗に間に合うかが心配で若干苛立ちながら聞いたのを今でも覚えてる。

『We are Photo Friend Forever』

--------------------


今年はメキシコに行く予定だった。

もちろんコロナでキャンセル。

楽しみだったんだけどな、カラフル・メキシコと、6年ぶりにPFFに会うの。

でも、またいつか会える。

PFF

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?