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曽我部小屋の解体/小さい小屋編

小さくてボロボロでも侮るなかれ、解体してみると知恵と工夫が詰まっている。解体とは最高の学びである。

解体は学びの機会

素材転用のメインとしているのは別の大きな小屋。この小さい小屋はどちらかと言うとおまけ。使える部分も少ないので、正直解体は面倒だと思っていました。しかし、解体してみると大変勉強になる教材でした。
良くホームセンターで見かけている金具はこんなふうに使うものだったのか!?鎹と釘だけでこんなにしっかりと組めるものなのか!?縦横だけでは頼りない構造も面材加わるとがこれほどしっかりするのかと頭ではわかってはいても改めて感心しました。民具のような驚き。単純なのにしっかりできている。この驚きがすごく美味しい。

この金具が使いやすそう

実際に作業自体はというと、この小屋の解体は一人だけでやったので、大変でした、、、。というのも、新しい釘だったら結構簡単に抜けそうなものも、錆びると抜けにくくなるので、金槌、バール当複数の工具と身体をなんとか上手く使いながらやらないと、どうにもならない。
周りに人もいないので、「えいやーー!」と声を出しながら道具と身体両方を名一杯使ってやっと抜けました。久しぶりにこんな感じで道具を使ったような気がします。

時間が経ち、中に浮いた縦材

波板剥がし器(民具)

2022年2月19日/波板剥がし

古くなった波板の釘を外すのはまた一苦労。特に何度もの上から塗料を塗ったものは釘も傘も一体となっていて釘抜きが入る隙間がない。特に今回のようにバールを使ったときに波板を凹ませたくない時はどうしようもなくなる。そんな作業を綺麗に成し遂げるための民具がある。あるというか、ある人の発明品です。
いつもお世話になっている農家のNさんに今回の小屋解体の話をすると「だったらこれを持っていき。」と出してくれたのがこの波板剥がし器です。この小さい小屋で初めて試してみました。

波板剥がし器の使い方を説明するNさん

使ってみると、聞いていた通りの働き。波板を凹ませることなくしっかりと梃子の力を使って釘を引っこ抜くことができます。波板自体をこんなに丁寧に剥がすことはなかなかないと思いますが、これは民具BANKにとっては実用性のある道具です。感動しました。
感動のあまりすぐにNさんに電話をかけてお礼言葉を伝えました。そして、これがあれば作業がかなり進むので、いくつか作れないかと相談しました。

実際にはこのように使う

作業を続けて1時間も経たない頃、 Nさんから電話がかかってきて「できたで〜」と連絡。まさかそんなに早く出来上がるとは思っていなかったので、「何かできたのでしょうか??」と思わず聞き返してしまいましたが、早速お知り合いの方に頼んで、2つ作っていただきました。
大きい小屋の解体で活躍すること間違いなしです。


骨組みの解体順序

2月22日/骨組み解体

骨組みだけになった小屋

筋交が入っていないので、波板を剥がしてしまうと釘、鎹(かすがい)、ボルト金具でとめられた骨組みはグラグラする。解体順序は上から 屋根→側面上部の梁→正面後面の上部の梁→側面横材→柱 の順で行いました。

横から見た小屋の構造と使用金具

鎹は比較的簡単に抜きやすいが、腐食した釘は抜けない。鉄生地の釘は腐食して膨らむことで、時間が痩せていく木とも結合力が増していくというのは本当でした。ほとんど抜くことはできず、バールを使って無理やり柱同士を離して解体することしかできませんでした。ここで「えいやーー!」です。
ボルト金具も錆でナットが全く回りません。結局ここも釘で柱に止めている板部分を剥がし、叩いて無理やり抜き出すという力技になりました。「えいやーー!」です。

屋根の撤去後
最後、柱材のみの姿材の仕分け

素材の仕分け

全ての解体し終え、必要なものと不要な素材へと仕分けする。全て循環させたいと思うところですが、これだけ劣化しているとそうはいかない。金属、プラスチックなどの素材は業者に処分を依頼しています。
その他不要な木材は燃料として使用する。

不用物の山。左が燃料用木材、右は産廃または金属回収へ。
循環予定資材

波板や主な柱材は循環用素材として確保しています。しかし、結構腐っている部分が多くあるので、実際に使える木材は一部だけでしょうが、一度見てみてから再度選別します。釘やボルトのがあった部分など、どういったところがどのように劣化していくのかがみれると思いますので、その作業もまた良い学びになるでしょう。

次は大きい小屋編

次の解体は大きい小屋の方。しかし、先日この小屋の屋根部に使われているスレートに時代的にアスベストが入っている可能性かあることが分かりました。素人の私はそんなことは全く考えていなかったのですが、現場を見た建築家の方から「アスベストが入っている屋根材の解体は法律上専門業者しか行うことができない」と教えていただきました。
そういったこともきっちりやっておいた方がいいので、指摘いただいた建築関係者の方のアドバイスをいただき、業者へ依頼することになりました。
複数業者への相見積もりと持ち主への費用交渉の末、屋根材撤去と廃品処分を業者に行ってもらい、その後こちらで解体を進めていくっことになりました。屋根が撤去されれば、いよいよ大きい小屋の波板剥がしがはじまります。

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