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新解釈:四十九日…三七日

二七日編はこちら

現在三七日の裁判。
私は証言台に立っている。

今回の裁判官はスナックのママみたいな人が座っている。後ろの傍聴席は記者みたいな人が多い。
三七日は男女関係について聞かれるらしい。
ということは、週刊誌の記者なのかな。
私にそんな記事になるような内容ないと思うけど…。

『じゃあ、お名前と年齢・配偶者や恋人の有無を教えてくださ〜い!』
「はい、田中さや、34歳、結婚はまだでしたが、婚約者がいました。」
『あら、それは婚約者さんがかわいそうね。
今回はその方じゃない人で男女トラブルがあったか教えてくれる?』

「1回だけありました。」
少しざわつく傍聴席。
スナックのママ風裁判官は目を光らせた。
『詳しく教えて』
「えと、マッチングアプリで出会った人なんですけど、その人が既婚者だということがわかったんです。」
『どこまで進んだの?』
「ご飯を一緒に食べに行って、すぐ気づいてしまいました。その人のラインに『パパ、まだ帰ってこないの?』って通知が来たんです。」

スナックのママ風裁判官が笑い出す。
『それで?どうしたの?』
「えーっと、………」
言葉が詰まる。

ゆみさんは助け舟を出す。
『私、弁護人が代わりに答えますね。
気づいてすぐにそのお店を出ています。
“一生女のケツ追ってろ、アホ”と捨てゼリフを吐いたと。』
傍聴席からクククッと笑い声が聞こえてきた。
顔から火が出そうだ。

『それから何かあったの?』
こんな全然知らない人に本当に話をしないといけないのだろうか?
「あ、それが、その後もしばらくその男付きまとってきまして……」
傍聴席の誰かがメモのページをめくる。
スナックのママ風裁判官も興味津々だ。
『どうしてかしら?』
「何か、恥をかいたから、せめてご飯代を払え。と」
『きっとプライドズタズタにされたのでしょうね。どうやって解決したの?』
「その時に追い出してくれたのが婚約者でした。 まだ付き合ってもなかったんですけど」
ゆみさんもスナックのママ風の裁判官もニヤニヤしていた。

「あの、これで何かの罪になるんですか?」
『いや、おもしろい話ありがとうね。最後に1つ質問します。“一生女のケツ追ってろ、アホ”って言ったこと、後悔してる?』
「んー。きっとまた同じことが起きたら同じことを言ってる気がします。そしてしばらく言ったことを気にするとは思います。」
私は言葉を選びながら答えた。

『正直に言ってくれてありがとう。私から一言言うわね。もしかしたら暴言吐いちゃったことで男が傷ついたんじゃないかなと思っているかもしれない。
でも、付きまとわれたみたいだけど、あなたが思っているよりも“そんなに気にしてない”から!だから堂々としてね!』
「はい!」
『これで三七日は以上です!四七日がちょっと大変だからゆっくり休んでしっかり対策してね!』
三七日が無事終了した。

続く

【三七日】
三七日は、宋帝王(文殊菩薩)に、生前の不貞(配偶者以外の男女関係)について調べられます。
もしも罪を犯していた場合、化け猫や蛇に襲われ、その罪を悔い改めなければ衆合地獄に堕ちてしまうと言われています。

参考資料


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