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宇都宮けんじとZoom3「LGBTQ」

また仲間と文字起こししました。

本編の前に、個人の感想を先に書きます。沢山文字起こしをしてきましたが、今回起こしながら泣いてしまいました。

自分の存在がなんであるか悩んでいるLGBTQの皆さんを苦しめているのは、彼らの性志向や性自認の責任ではなく、それに不寛容で無理解な社会の問題だと、当事者支援をされている方のうったえを、宇都宮さんが静かに聞き取っています。

宇都宮けんじさんというひとが知事になったとき、どのようなスタンスでその実務にあたるのか、イメージできる、またこれまでの弁護士としての仕事ぶりが彷彿とされる動画です。

動画の下に文字起こしあります。

都知事選後半戦に向けて

内田 今夜は宇都宮けんじとZOOM、これでもう5~6回目になるんですけれども、本日のテーマは「東京を人権の街に 性的マイノリティLGBTQと語る」というタイトルでお送りしたいと思います。私は司会を致します内田祥子と申します。よろしくお願いいたします。いま宇都宮さん凱旋から駆けつけで間に合いました。どうですか。今日でちょうど半分ですけれども。

宇都宮 そうですね。これから後半戦に入るんですけど、今日の蒲田もそうですけど、その前は赤羽でやって、その前は今日は大井町でやって、赤羽でやって蒲田でやったんです。毎回だんだん調子が膨れ上がっていて、大変都知事選に対する関心が広がっているのと、聴衆の熱気に僕も乗せられて、こっちも盛り上がる。そういう雰囲気が、先週の土曜日、金曜か土曜あたりから少しずつ出てきてるなと。私自身3度目だから知ってる人は知ってるんですけど、しばらくお休みがあったんで、知らない人が多かったと思うんです。けど、今日は赤羽から蒲田への移動は京浜東北線を使っていたんですけれど、たまたま隣に座った人が司法修習生で、私のことも知っていて、写真を撮ってもいいですかということで。その後座った人が高校一年生ですけど、やはり政治に関心があるからということで、わざわざ演説を聞きに来てくれたりしてですね。候補者だっていうことが少しずつ知られていっているなということを、電車の乗ったときも感じました。

内田 はい、本当にあの支援の輪がどんどん広がってるなという実感を、私たちスタッフも持っております。それでは、今日のテーマですけれども、皆さんお気づきと思いますが、今日の宇都宮さんのバックの映像、このLGBTQの運動を象徴するレインボーフラッグですね。頑張ってスタッフが作ったということですが、まず今日四人の方にお越しいただいています。お一人ちょっとまだ入られていませんので、お三方それぞれちょっと短く自己紹介をいただきたいと思います。まず鈴木さんからお願いしていいですか。

出演者紹介

鈴木 はい。こんばんは。鈴木賢と申します。明治大学の法学部に勤めていますけれども、ゲイの当事者として30年前くらいから札幌で活動を始めております。最近は自治体にパートナーシップ制度をつくる運動をしています。私の故郷の札幌市で成功しましたので、これを全国に広めて、ゆくゆくは法律を変えて同性間でも婚姻ができる、婚姻における性差別をなくすということを最終的な目標にして、いま頑張っているところです。よろしくお願いいたします。

内田 ありがとうございます。ぜひ札幌の経験なども伺いたいと思います。それでは小野さんよろしいですか。

小野 こんにちは。小野春と申します。今日はよろしくお願いします。私は子育てをしているLGBTの人の集まりであるにじいろ家族という会の代表をしております。それと結婚の自由をすべての人にという、いま国を相手にやっているいわゆる同性婚訴訟と言われているものなんですけれども、そちらの原告の一人でもあります。今日は色々お話できるのを楽しみにしております。よろしくお願いいたします。

宇都宮 よろしくお願いいたします。

内田 はいありがとうございます何か素敵なお部屋だと思ったらこれはバーチャル背景ですね。ぴったりと合ってていいなと思いました。

小野 すいません(笑)部屋はちょっとお見せできないので。

内田 そしたら松中さん、自己紹介の後に、先ほどもお願いしたのですが、このLGBTQという言葉を知らない方もいると思うので、その用語の解説などを簡単にしていただいて、その後宇都宮さんにバトンタッチをしますので、皆さんで議論いただきたいと思います。よろしくお願いします。

松中 こんばんは松中権と申します。権利の権と書いてゴンと読みます。僕自身もゲイの当事者で、生まれは石川県の金沢市です。大学から東京に出てきまして、サラリーマンを16年間やっていました。そのサラリーマンの途中で10年目のときに、会社でゲイであるということをカミングアウトして、それと同時にLGBTQに関する場所づくりというか、LGBTQもそうじゃない人も心地よく一緒に過ごすことができる職場とか、もしくは住まいとか、もしくはサードプレイス、みんなが自分らしく集えるような場所とかをプロデュースする、作り出すというような活動しております。合わせて、国の方、国会の方でレインボー国会といって、超党派の議連の方々と国に差別を解消していく、もしくは平等に人々の権利を作っていくという法律を作ろうという活動もしております
 このLGBTQは、性的マイノリティ、セクシャルマイノリティの総称の一つと言われていますが、私の方から簡単に説明をしたいと思います。LGBTQというのは、それぞれ英単語の頭文字を取っているんです。 LはレズビアンのL。女性として女性が好きな女性の同性愛者の方々。LGBTのGはゲイですね。僕とか鈴木健先生がゲイの当事者。男性として男性が好きな方。BというのはバイセクシャルのBで両性愛者と言いますが、好きになる対象が男性でもあり女性でもありと。TというのはトランスジェンダーのTですが、もともと社会的に割り当てられた性別、つまりは生まれたときの性別と自分が自認する性別、自分がこういう風に生きたいと思ってらっしゃる性別が一致していない方。もしくは、自分が生まれたときの性別と違う性別を生きたいと思っている方は、トランスジェンダーという方と呼びます。Qというのは最近この LGBT に加えてQという言葉がつくことが増えてきているんですが、実はLGBTと四つの頭文字を取っているので、どうしてもその4つの人達っていう風に見られてしまうんです。けれど、性的マイノリティ、セクシャルマイノリティということでいうと、実は本当に多様な方がいらっしゃいます。気になる相手が男性も女性もっていう風にこだわらない方、全ての方が好きという方もいらっしゃれば、誰かのことを好きになるという感覚もあまりお持ちになってない方もいらっしゃるとか。あとは自分の自認に関して男性なのか女性なのかっていうことが曖昧な方とか、もしくは決めたくないという方もいらっしゃると。そういう方々を含めて総称する意味でLGBT「など」に当たるようなQと思っていただければと思います。このQというのは、クエスチョニング、自分がどうかっていうことがわかりにくい、分からない、決められないっていう方〔を指すか〕、もしくはクィアっていう言葉がございまして、元々英単語としては奇妙なとか奇抜なっていう言葉から始まっていますが、それを転じてポジティブに当事者の方々が使い出した言葉です。
 会社とかで調査をしていますが、日本ではLGBTQの方々が大体5%から10%ぐらいといるという風に言われています。が、多くの方々は、日々身近にある差別的なこととか偏見があって、なかなか自分がLGBTQの当事者であるということをカミングアウト、公にしていないというのがひとつの特徴です。ですので、隣にいるのかちょっと分かりづらい、目に見えづらいマイノリティと言われておりまして、なかなか目に見えづらいので、本当は隣にいるんだけどいないことになってしまっている。そこに存在しないから、たとえば色んな仕組みとか制度から溢れてしまっていたりとか、もしくは隣にいるとも思ってないので差別的なことが発言で出てきたりということが起きてしまっていると。なので、その理解を広げていこう、広げていくことによってLGBTQの人たちが隣にいるっていうことを知っていただいて、その差別的なこと、偏見というのをなくして行こうという様々な活動とか、もしくはその溢れてしまっている制度から、溢れてしまっている方々を救っていきましょうということで制度を見直す。この二つの動きが日本中、世界中でも起っているということです。

で、この6色レインボーフラッグっていうのは、実はLGBTQのグローバルでのアイコンというかシンボルになっていまして。ちょうど今月、世界ではプライド・マンスと言われていますが 、LGBTQの方々を祝福するという月とも言われています。1969年、51年前にニューヨークのストーンウォールというところでLGBTQの方々が、いろんな差別偏見があったということに関して堪忍袋の緒が切れるじゃないですけれど、初めて声を大きく上げるということがスタートした。というのが1969年で、今年で51年目という形になります。以上です。よろしくお願いします。

日本に600~1200万人いるLGBTと言われる人たち

宇都宮 今の松中さんの説明で、ご覧になっている方驚いたんじゃないかと思いますけれど、LGBTと言われる人が日本で5%から10%。大体今日本の人口は1億2600万人ちょっと、そうすると5%だとしても600万人で、10%だとすれば1200万人を超える。ということで、普通の人が考えている LGBT の人とえらいこの数の違いがある。これはどういう形でそういう算出をされたのか。それから、そういう人たちで、皆さん方のようにオープンにカミングアウトしている人はいるんですけど、そういうのをできないで困難な状況に置かれている人は全体の何パーセントぐらいなのか。ちょっと説明していただけますか。

松中 はい、ありがとうございます。調査は本当に、いろんな企業が行っている調査もあれば、国の機関がやっている調査もあれば、自治体として行っている調査もあれば。ということで、いろんな調査があるんですが、それぞれ調査方法が違っているので、5%から10%という言い方をしました。多いからサポートしなきゃとか、少ないからサポートしませんっていうことではなく、それぐらいいるということなんです。けれど、よくたとえられるのが、左利きの方とかが8%とか、もしくはAB型の方が日本人の人口の約1割みたいなことも言われたりもしています。それぐらい実は身近な存在なんですけれども、おっしゃる通り、ご自身のことをカミングアウトしてない人がたくさんいらっしゃるので、ちょっと身近に感じられている方が少ないんじゃないかなと思います。カミングアウトをしている方の割合というのも、本当にいろんな調査データでそれぞれ実は違っているんです。たとえば職場環境とかでカミングアウトしている方ってほとんどいらっしゃるならないと思っていただいた方がいいかなと思います。一部の方々は、東京の大きな企業とかで働く方は少しずつカミングアウトしている人も増えてはいますが、ほとんどの職場環境ということで言うと、自分のことを明かしていないという人が多いと思います。

宇都宮 いま私が石川大我さんの事務所を借りてこういうZOOM会議をやっているんです。彼自身が国会議員でありながら、そういうことをカミングアウトしたということで、実は石川さんが立憲民主党から参議院選議員に出るときに応援させていただいたんです。そのときもいっぱいそういうLGBTの問題に取り組んでいる、非常に若い人が多かったですね。支援者がたくさん来て、そういうつながりがしっかりできているんだなと思ったんです。実は弁護士会にも、こういうLGBTを明らかにしている人が最近は出てきています。それで、鈴木さんの方に、パートナーシップ制度をいま自治体で広げている、札幌でそういう経験ができたということですけど、パートナーシップ制度というのはどういう制度で、それがLGBTの人にとってどういう意味で大切なの制度なのかということについて、少し説明、紹介していただけますか。

パートナーシップ制度とはなにか

鈴木 ありがとうございます。日本ではまだ国の制度として同棲カップルを家族として承認するという制度がありません。もう31国、世界では国で同性婚がありますけれども、G7のなかでは、日本だけが何の法律もないですね。イタリアはパートナーシップ制度を国の制度として認めていて、法的な効力もあるわけです。けれども、日本だけが何もないんです。よく自民党の政治家さんは、G7を基本的な価値観を共有する国々という言い方をします。が、私に言わせると、日本だけが共有していないんじゃないかという気がいたします。はっきり言って、国は立法不作為で、同性に性指向が向く人達を家族から排除している。このことでどれだけの人が困っているか。特に今日出ていただいている小野さんのように、子供を育てられている方にとって、法的効力がないということでどれだけ不便で不安な毎日を送らなければならないのか、ということを知ってもらいたいんですね。
 この状況を私は変えていきたいと思っていて、渋谷と世田谷で同性パートナーシップ制度ができたのが2015年です。ああ、こういう手があったのかと思いました。つまり自治体から同性のカップルを家族として承認していくという試みですね。実はいろんな国で、国レベルで制度化される前に自治体レベルからこういう試みは始まった、それが徐々に法律になっていたという国は他にもあるんですね。そういう意味で、日本もようやく自治体レベルでの動きが始まったんだという風に思いまして、それで札幌で取り組むことにしました。札幌は政令指定都市ということで、政令指定都市の最初の例にしたいと思ったんですが、幸い札幌ではうまくいってですね。2017年から札幌では始まりました。この7月1日からまたいくつかの自治体が加わります。もう51ですけれども、7月1日からおそらく2、3の自治体が加わると思います。そうなると3割、日本の人口の3割を超えるというところに行きますので、色々ですね、次は法律だと。
 自治体の制度には法的効力はありません。家族についての法律は、これは国の権限ということになっていますので、自治体レベルで法的家族を作るっていうことはできないんですね。ですから、パートナーシップ制度を自治体レベルで作っても、それ自体に何か法的な拘束力があるわけではありません。ただ、自分の住んでいる自治体で同性カップルを認めますということがあると、それが他の企業であるとか周りの人に対して影響していくという風に思います。ですから、社会的なレベルで社会規範、あるいは社会通念のレベルで同性のカップルを家族として扱うと。実際に企業などではそういう動きがもう既に出ていて、福利厚生などについて、夫婦と同じような扱いをするというところがもう出てきています。そういう意味では、自治体のパートナーシップ制度は、私は社会規範を変えていく、実際にもう変えているという風に思います。
 で、次は国だと思いますけれども、とどめを刺すのはまさに東京都だと思います。今回、宇都宮さんがパートナーシップ制度を作るということを公約に載せていただいたというのを非常に嬉しく思います。東京都ができれば、もうこの問題について地方レベルでは決着がつくというところにまで行くと思うんですね。ですから、一日も早く東京都としてパートナーシップ制度を作っていただきたいと思っています。
 東京都は渋谷と世田谷から始まりましたが、区のレベルではそれほど進んでいません。むしろ、市の方が熱心に取り組んでいるところがいくつかあります。いずれにしても、23区とそれから市全てでパートナーシップができるのを待つのは相当時間がかかります。それから東京都は頻繁に引っ越しをする人がいます。それから、区をまたいで市をまたいで居住しているカップルもいます。そういう意味で区や市を越えて、都のレベルで制度化していただく必要性っていうのが一番高いんだろうと思うんです。一気に国の制度を変えてしまうためには、東京都の力をぜひお借りしたいと思っていますので、私としては宇都宮さんにぜひ当選して頂いて、制度を作っていただきたいというふうに思っています。

世界の法整備の状況


宇都宮 あの ちょっとお伺いしたいんですけど いろんな同性婚を認める法律ができた国も最初は自治体からこういうパートナシップ制度なんかが積み重なっていって同性婚を認めるに至った国が多いということを言われましたけど、私はアジアでは台湾が同性婚を認めてるということは知っているんですけど、台湾でもそういう最初は自治体から認める動きがあったのか、一気に法改正に行ったんでしょうか

鈴木 あの台湾もですね日本と同じで実は2015年なんです、台湾も。自治体のパートナーシップ制度が始まるのが、2015年の6月ですね。日本は11月です。あの渋谷と世田谷同時に始まるんですが。実はでもその渋谷の条例ができるという報道が出たのが2015年の2月、3月ぐらいからなんですね。それを見て台湾の人たちは、あ、こういう手があるんだということで、高雄市から始まりますけど、台湾の場合はもう始まっったとたんに一斉にすぐに瞬く間に全国に広がってしまって、やはり日本と同じように法的効力のない、あの同性のパートナーシップの、台湾の場合はですね戸籍簿に注記する。紐をひっかけるような、情報をひっかけるというそういう登録制度をつくりました。それから法律に進みましたので、まざ日本よりずっとスピードが速いんですけども、やはり自治体から始まったということですね。

宇都宮 台湾はほかにも、私いろいろあの調べてるんですけど、他でも学ぶべき点がたくさんありますね。意外と日本以上に様々な法制度で進んでる面があります。

鈴木 はい。私あの台湾法も研究してるんですが、例えばあの取り調べの可視化ですね、それはもうかなり早い時期から全面的に録音録画です。義務付けています。全事件について。で、録音録画をとってない場合は証拠にできないんですね。それからあの、供述記録とですねあの一致しない場合は録音録画の方を採用するっていうふうにになっています。ですからまあこれはもちろん、取り調べの過程でですね自白の強要とかそういうことがやっぱり行われたっていう冤罪が生じたっていう教訓があって、もうとてもじゃないけど録音録画しないともたないというそういうなかで。まあ台湾の人に言わせると日本の警察検察がおとなしいから必要ないんじゃないかとか言うんですけども、いやそんなことはないって言うんですけど。まあある意味台湾はですね警察がとてもこう無理な取り調べをしていたので、そういうことが早く進んだっていうのはあるんですけども、非常に大胆に人権を守るための制度をつくってっていくという意味では日本よりも進んでいるところがいくつかあります。

宇都宮 たまたま今おっしゃられたあの冤罪被害をなくすために日本のデモ、再審法っていうのを変えようと、再審法改正市民の会っていうのが結成されて、冤罪被害者をなくす運動をやってまして。再審法改正市民の会の共同代表の一人を私しているんですけど、その中でやっぱり台湾ていうのはすごくその分野で進んでいる法改正がなされているので、それからあの同性婚もそうだし、非常に台湾から見習うべき点が多いなと感じた次第です。
次にあの、先ほど同性婚法の裁判もやられてる。それから子育てをする上で非常に困難を抱えているということを話されましたけど、小野さんの方から子育てする上でどういうどういう点が障害になっているのか。それから同性婚訴訟っていうのをどういうかたちで提起して、今どういうふうになっているのかちょっと紹介していただけますか。

同性婚での子育ての困難

小野 はい。今日はあの声を届けるチャンスをいただいて本当にありがとうございます。私はですね、先ほどすみません、自己紹介の時にちゃんと言えばよかったんですけど、同性のパートナーと3 人の子どもを育てていまして、子どもはもうだいぶ大きくなりまして、現在大学生の子どもたちが3人という形になっています。子どもはですね、子育てをしているそのLGBTの人っていうのは、本当に見えにくくてですねやっぱりまだまだ偏見がある中で、子どもへの影響を考えるとですね、なかなか顔を出すことが難しいという状況が続いているので、ほんと日常的な事でですね、子育てをしているときにですね、ほんとに法律的なことが全くカバーされていないので、例えば小学校に入れた時にちゃんと家族として扱ってもらえるのかとか、本当に日常的な場面でですね様々にこう大変な苦労をいろいろみんなで工夫しながら、みんなで情報を共有したりしながらですね、どうやったら少しでも子どもがあまり大変な思いをしないで済むだろうかなんて言う情報を交換しながら、今いろいろと試行錯誤みたいな感じではあります。本当になんかですね、あまりにも日常的な事なので、なかなかこう細かくてあれなんですけど、例えばこないだもコロナがあったっていうときも、例えば小学校の子どもが小学校お休みしたので自分の仕事を休みましたってい場合に休業補償が出ますってことになったと思うんですけど、そういったときにですね家族としてほんとに扱ってもらえるかとかいうことが、結局家族だっていうふうにどこからも言われてないので、戸籍上家族っていう扱いになっていないですから、そういう時にちゃんと私たちは家族として扱ってもらえるんだろうかとか、例えば病院に子どもを連れてったときにパートナーの子どもだったりすると、パートナーの子どもでもちゃんと例えば入院手続きができるのか、手術の手続きができるのかとか。そういった日常的なところで、なかなかですね、いろいろと面倒な点がいろいろとあるなと思います。あとやっぱり家族の中でですね、自分たちが家族だっていうふうに、あの私たち自身はもちろん思っているんですけど、外側の方からあるいはあの法律とか行政の場面で、家族じゃないですっていうふうに扱われてしまうことがやっぱり多いので、あのなかなかですね尊厳と言いますか、そういったものがちょっと家族の中でこう守りにくいその自分たちの家族に対して、えーなんてんですかね、ほんとに私たちがちゃんと家族だっていうふうに扱ってもらえるのかみたいなところが、ちょっとこうなかなか心理的な負担になっているというふうに思います。

宇都宮 同性婚訴訟はどういう

小野 先程もちょっと鈴木先生からもお話があった、パートナーシップなんですけれども、
わたし実は世田谷区に住んでおりまして、同性パートナーシップができた初日に、登録しているひとりなんですね。もちろん、自治体のパートナーシップができて、最初は何に使えるのか、法的な効力はないので、最初はこのパートナーシップ何に使えるのか、わからないけど、でも例えば子どもが入院したときとかに、身分を保証してもらえるかもしれないから、とりあえず登録しておこうと思って、登録しました。登録した3ヶ月後に大きな病気がみつかって、わたし自身に大きな病気がみつかって、いろいろな大きな治療を受けなければ、手術もするし大きな治療をしなければいけないってことが発生しまして。そういったときに病院に行ったら、即、家族の方だけに告知するので家族だけを連れてきてくださいって言われたりしたんですね。そういったときに、家族だって、例えば病院で家族じゃないですって断られたとして、証明ができない。パートナーシップがなかったら、その関係を証明できない。例えば病院の方が「ちょっとうちの病院では家族として扱えません」とおっしゃっても、わたしたちは家族ですって言い返すすべがなかったんですね。でもパートナーシップがちょうど3ヶ月前に区の方でできていたので、とりあえずちゃんと、告知を受けたりなにをするにしても、ちゃんとパートナーですってことを、連れて行って「わたしのパートナーなんです。同性のパートナーなので、一緒に病気に立ち向かっていくパートナーとして告知もちゃんと受けさせてください」っていうことができたんですけど、例えばまだ東京都の中でパートナーシップ制度がすべての自治体にあるわけではないので、例えばそういった場面で保証してもらえる、例えば何かがあったときに、自分たちの関係性を保証してもらえるなにか、公的なものがないって自治体に住んでらっしゃる方が沢山いらっしゃるし、そこで子育てをしてらっしゃる方、あるいは今現在病気をされている方とか、そういった方がいっぱいいらっしゃるので、そういった方をすくうというか、たすける制度として、東京都も同性パートナーシップを宇都宮さんも公約にあげてくださっているということが、すごく心強いなと思ってるんですね。なかなかこの自治体じゃないとわたしたちは認めてもらえないのか、っていうのはつらい状況でもありますので、やっぱり東京都、大きな自治体が認めてくださるってことになっていくと、安心できる人がすごく増えていくんじゃないかなと思っています。で、すみません、裁判の話に戻るんですけど、そのパートナーシップはもちろん、そういった意味で心理的にも公的なはじめてのわたしたちの関係を証明できる書類にはなっているんですけれど、法的な権利っていうのは、全く保証されていないんですね。結婚と同等な制度みたいな言われ方をしていますけれど、結婚制度とは違って、共同親権もないし、配偶者としての権利、例えば相続の権利だったり、そういった様々な権利が特になにもないっていう状態なんですね。わたしパートナーと一緒に子ども育てて、15年になるんですけど、その間共同親権がパートナーとの間にはないので、子どもはそれぞれの親がもつという、権利を持つというような形で、やってきていたりしまして、そういうところですね。やっぱり同じ家族なので、男女のカップル、ご夫婦と、自分たちの家族のなかっていうのは、全く特に何も変わるところはないと思ってるんですね。自分は前に男性と結婚していた時期もあるんですけど、その時期に子どもを授かってるんですけど、その男性と子育てしていた時期と、今同性のパートナーと子育てしているっていうのは、中身は本当に同じですし、子どもたちも何も変わらないねっていうふうに言っているので、やはり同じような保証がほしいと言うか、必要だと思っています。それで訴訟のほうに参加させてもらっています。

宇都宮 この訴訟っていうのは全国でいくつか起こっているんですか。何箇所かで。

小野 はいそうです。札幌と、名古屋、関西と、福岡と東京で。あと九州ですね。

宇都宮 まだ第一審の結論、判決はまだ。

小野 まだです。ちょうどコロナでストップしてしまいまして、今止まっているんですけれども、まだ地裁レベルで止まっている段階です。

宇都宮 裁判所がこれどういう判断をするかっていうのはね、ちょっと認識とかね、人権意識とか、問われる問題だと思います。

小野 はいそうです。なかなか最近もLGBTに関わる犯罪、給付金の件で名古屋で結審したものがありましたけど、あれを見ていても、ちょっとこう、裁判官の方々が本当に人権とか、わかってくださっているのかちょっと不安になる場面も多かったので、同性婚のほうの訴訟もちょっと、大丈夫なのかななんて、思っていたりもします。

レインボーマーチと社会の認知

宇都宮 最初の松中さんに聞きたいんですが、こういう問題を抱えているLGBTの人がいて、そういう人たちの権利をこう確立するための、デモンストレーションを最近、毎年やられているんですかね。

松中 先程もお話しましたが、51年前にストーンウォールで出来事があった翌年から、今ではパレードマーチと呼ばれますが、世界でそういう動きがありまして、日本でも初めてパレードというものが行われたのが26年前ですかね。それ以降毎年継続という形ではないですが、主催団体が変わりつつ、ここ数年はひとつの団体が推進をして、東京レインボープライドという団体が推進をしていて、昨年は20万人の方がパレードに歩いたりとか、沿道で応援したりとか、複数のイベントに参加をして代々木公園に集まったりということを、されております。

宇都宮 そこに参加している人はそれこそ、LGBTそれぞれの問題を抱える人達が横に連なってそういう運動をやられているってことですか。

松中 もちろん当事者と呼ばれる方々もそこへ行って、自分たちはここにいるんだということを発信はしているのですけれど、今はアライと呼ばれるLGBTQの当事者とは限らない方々も参加をして、もともと同盟とか仲間という意味ですが、そのアライと呼ばれる方々が一緒に参加をすることで、なかなかLGBTQ当事者の方から自分はそうなんだってことをカミングアウトするのも大変ですし、こんなひどいことをされているんですっていうこと自体もカミングアウトを伴ってしまうので、なかなか難しいんですが、社会に暮らしているのは、当事者だけではなく、むしろ社会のマジョリティは、非当事者の方々なので、その人達の考え方が実は社会を大きく作っている部分もあるので、そのアライと呼ばれる方が、別にLGBTQの方がいて当たり前だよね、自分たち側の社会を変えていくっていうことが大切だよね、っていうことで、パレードとかイベントに参加をいただいて、一緒に発信しているって感じだと思います。

LGBTQ当事者を苦しめる当事者以外の規範や常識

宇都宮 皆さんがたの運動の成果かもしれないですけど、今26年前にはじまったということですけど、わたしはその前のそういう運動はあまり知らなかったんですけど、最近はそのパレードとかそういうのは報道されるのが多くなっているような感じがしますけれど、そういう面で少しずつメディアには認知されている面があるのかなと思いますがどうでしょうか。

松中 過去10年前とか5年前に比べたりしたら、LGBTQという言葉がメディアに登場する数が増えていると思いますが、じゃあ社会は大きく変わったかというと、当事者側もそこまで大きく変わったという感じではないかなと思います。むしろこの東京都知事選をきっかけに変わってほしいとか、変えてほしいと思われている方々が多いかなと思いまして、僕たちのまわりにいる人達しか、自分たちのことをサポーティブに発言をしてくださらないですし、自分たちも否定的な人と一緒にいると怖かったり、つらかったりして、なかなかつながるのは難しくて、実は無関心の方とか、否定的な方っていうのが大多数を占めているので、みんながいいよねって思ってたら、あっというまに東京でパートナーシップもできてるはずですし、同性婚も当たり前にできてるはずなんです。今そういう状況じゃないんじゃないかなと思いますし、是非宇都宮さんにも、特に年代で切りたくはないんですけど、どうしても若い世代よりも、年を重ねた方々のほうがLGBTQに関する興味もなければ、否定的な方が多いと思うので、変えてほしいなと思っています。

宇都宮 それからこの前、鈴木さんなんかも来られて話を聞いた時に、若い人でなかなかそのLGBTの自分に気がついた時に、誰にも打ち明けられなくて、それで悩んで手首を切ったり、自死をはかったり、そういう人もたくさんいるというふうに聞いたんですけど、皆さんがたのそういう権利を確立する存在というのが、徐々に知られていってはいるんですかね。そういう、今悩んでる人たちに対して、少しそういう悩みを打ち明けようとか、そういう団体の存在にはなってきているんでしょうか。

鈴木 インターネット時代に入って、わたしたちが若かったり子どもの頃よりは状況がだいぶ変わりました。自分で情報を得ようとすれば簡単に集まるようになっているんですね。だから自分以外の同性愛者に会ったことがないとか、我々の時代にはずっと続いてましたけど、今は出会おうとすればすぐ出会える。いろいろな情報が溢れかえっていますから、今の若い人は昔よりはよくなったと思います。ただやっぱり制度がないんですね。関心も高まってるし、雰囲気は変わってきましたけど、依然として制度がない。やっぱり根本に家族の問題があると思うんです。将来の展望が描けないわけですよ。自分たちは結婚もできない。そうすると自分は一人で生きていくんだろうか。ひとりで年とって死んでいくんだろうか。そういう展望が描けないんですね。社会も、親もそう思っていますから。たとえば異性と結婚するように強制したりですね。そういう親って今でもいるんですね。そういう息子や娘にカムアウトされても受け入れられない。親が子どもを受け入れられない。そうなると子どもたちは自殺するか家出するしかないんですね。だから家出の子ども、すごく多いんです。やっぱりちょっとなにか問題があると、弱いんですね。非常に脆弱で、自傷行為をしてしまったり。特にトランスの方は自殺率が高いと言われていますけど、自己肯定できない状況に置かれているからなんですね。実はこの問題はLGBTQ当事者の問題ではなくて、性志向とか性自認の点で、大多数の人たちがまともだと思っている、当たり前だと思っている、その常識とか規範、それが当事者たちを苦しめているんですね。これは当事者の問題があるわけではないんです。これは、身体障害者の方々の問題とまったく同じで、障害自体が問題なのではなくて、障害があっても暮らせない、そういう社会を作っている健常者たちの問題なんです。この問題はマイノリティの問題ではなく社会全体の問題であり、当事者じゃない人はだれもいないんですね、実は。ということをわかっていただきたいなと思っています。その点で宇都宮さんは今回の選挙で、ちゃんと政策に打ち出して、明記していただいているというのを、心強く思っています。これ実は政治的課題なんですね。なんか文化や思いやりや配慮という問題ではなく、政治、法律の問題だとおわたしは思います。

国会の中の壁はどこにあるか

宇都宮 そこであの法律を作るのはですね国会なんですけど、石川大我さんは自分でカミングアウトして、その上で今国会議員になられてますけど、鈴木さんはどの範囲で国会に現れているか分かりませんけれど、最終的には法律を作るのにはロビー活動をやらなきゃいけないですよね。いろいろお知り合いになった国会議員のなかで少し理解者が増えてるのか、国会議員の中では壁にぶち当たってるのか、その辺はどうなんでしょうか。
鈴木 増えてると思います。自民党の議員のなかにも、これ難しいのはですね、個別で会いに行くと実は同性婚に賛成ですって言って下さる自民党の銀さんもいるんです。ただ党内でこれを大きな声で言うかというとそれはまた別の問題なんですが、ただ少なくとも我々が会いに行けばですね、理解を示してくださって。本来いずれはね、作らなきゃいけない、問題はいつかっていう話だと。それを党内でどういうふうに出していくかっていう問題だというふうに若い議員さんなんかそう言ってくださる方がいます。ですから私は自民党も含めて 近い将来には変わっていくだろうと、その兆しは既にあります。野党の政治家の方はほとんどがもう賛成してくださいます。立憲民主も、共産党も、それから国民民主も、それから維新の方もそうだし、

宇都宮 維新の方も。

鈴木 それから公明党の議員さんも最近は随分応援してくださる方がいます。

宇都宮 ああそうですか。

鈴木 それから自民党の中にはやはり非常な頑固な反対派もいるということも事実です。その人方がやはり実権を握られている。ご高齢の男性議員が多いですけれども、そういう人たちをなんとかしなきゃいけないと。そこがまだ壁にぶち当たってるところじゃないかと思います。

都知事選で実現できること

宇都宮 なるほど。当面私、都知事選を戦っていて、都政の政策としてパートナーシップを認めるという政策を出してるんですけど、多分近いうちに衆議院選挙があるかもしれないですよね。そういうなかでみなさん方の活動とか提案で、各党の政策のなかにこういうパートナーシップ制度とか同性婚制度、同性婚法を作るっていう政策を入れさせるっていうのは重要な運動かもしれないですよね。衆議院選挙のときのいろんな政策課題に上げてもらう、各党のですね。

鈴木 そうですね。 選挙はすごく大事です。選挙がないと政治家の方々はなかなか聞いてくださらないので、選挙を利用してですね、我々の声を反映していただくようにお願いしたいなと思っています。

宇都宮 選挙というのはいろいろなメディアとか、いろいろな取材を通じて政策を訴える場になりますから、僕も長い間いろんな市民運動をやってきてるんですけれども、それこそ立候補することによって大々的に自分はこういうような東京にしたいんだということを訴える チャンスですので、非常に大きいなあという感じがしますね。だから是非皆さん方のなかにも今後ですね、地方議員とか、それこそ石川大雅さんみたいに国会議員に立候補されるとかね、それも運動の一環として捉えられたらいいんじゃないかというふうに思います。あとですね、それじゃそれぞれの方に都知事選の問題でもいいし、みなさん方がやってる運動の なかで、政治とか東京都も含めて、こういう問題を是非という、今まで聞いた以外の事がおありでしたら、あるいはこういう問題が今1番運動のなかで悩みになっているということがありましたら、一言ずつ ご紹介していただければと思うんですけど、松中さんの方からどうでしょうか。

コロナで孤立する人々は教育が救う

松中 はいわかりました。僕たち最近 LGBTQのユースの調査をしたんですが、このコビット、 いわゆるコロナウイルスの感染拡大の下で、ユース、子供どもたち、若い人たちがどんな状況にあるかってことを調査したんですが、多くの40%ぐらいの当事者の方々はこのコロナをきっかけに、自分が安心して自分のセクシャリティのことを語れたりとか、話ができるという人、もしくは場所との繋がりが絶たれてしまったりとか、もしくはそれが繋がりづらくなってしまったということがあります。あと同時にご家族のなかに一人でも、同居している方のなかに一人でもご自身のセクシャリティを前向きに捉える方がいらっしゃれば、 安心した暮らしができると答えていらっしゃる方が7割くらいいらっしゃって、つまり裏返すと一人もいない場合、本当にその方々は場所がないという状況になっていて。さらにステイホームの今環境ですので、外とも繋がれないし、家にも居場所がないってユースがたくさんいるという状況ですね。それとやっぱり先ほど宇都宮さんも話をしましたが、自殺率というか、自分のことを痛めてしまうっていう子どもたちも沢山この状況下だとたくさん増えてくると思いますし、そのことをどうにかしていきたいとは思っています。もちろんその子たちが例えば学校とかっていくと、学校の中、まだまだこのLGBTQのことが伝わっていなかったり知られていなかったりっていうことでいうと、教育っていう視点では、実は今日本全国の全ての学校でLGBTQのことを必ず教えましょうということになってないです。 学習指導要領のなかに入っていないので、つまり今どういう状況が起きているかというと、その学校学校の先生方お一人お一人、もしくは校長先生とか、その方々が思いがあればその学校はたまたまLGBTQのことを知ることができると。でも先生方は凄くお忙しいですし、 いろんなことをやらなきゃいけないので、多くの方々は教職の過程でもLGBTQのことをしっかりと学んでいらっしゃらなかったりとか、時間がなかったりということで、その子どもたち、ユースが、一番自分がもしかしたらそうかもって悩む段階で情報がなかったりとか、もしくは一番センシティブで誰かのことをちょっと人と違うからっていじめてしまうような環境があるときに、情報がないとか、教育の部分が凄く危ない状況かなと思うので日本全国でってことは国が預かる部分かもしれませんけれども、東京は少なくとも全ての学校で、この子どもたちがLGBTQ、多様性について学ぶことができるってことを保証してほしいなと思います。

宇都宮 ありがとうございました。重要なあれですね。教育の問題。小野さん、いかがでしょうか。

権利主張は難しいから行政が拾い上げてほしい

小野 はいそうですね、私はもう先程ある程度お話させていただいたと思うんですけれども、鈴木先生も先程おっしゃっていたと思うんですけれども、本当にこれは制度の話だと思っているんですね。優しくとかいう話ではななくて、私たちが家族として例えば、認められる制度っていうものを政治の方々に作っていただきたいという話だと思うので、それによってたくさんの救われる命もあるわけだと思いますし、健康により能力を発揮して生きられる人も増えていくと思うので、そういったところをですね、是非考えていただけたらなというふうに思っています。なかなか声を届けにくいマイノリティの人たち、なかなか表に出てきづらい人たちも多いので、声を聞くという機会がですね、なかなかみなさんにもないかなと思ったりする時もあるんですね。でも本当は沢山の方が既にもう暮らしていますし、いろんな状況の子育てしてる人とか、いろんな状況の方々がもう既に身の回りにいっぱいいらっしゃるっていうことだと思うので、なかなか自分の権利を主張するのは非常に難しいところがあるんですよね、自分のことをそんなに言っていいだろうかと思ったりもしてしまいますので、是非ですね、積極的に拾い上げていただけたらなと思います。よろしくお願いします。

宇都宮 どうもありがとうございます。じゃあ最後に鈴木さんいかがでしょうか。

LGBTQ当事者も同じように価値がある人間だ

鈴木 はい、宇都宮さんもう重々分かっておられるのであれなんですが、要するに性指向が同性に向かうとか、性自認と自分の体の性が一致しないとかいう人間もですね、同じように価値のある人間だということです。単に普通の人間だっていうことなんですね。ところがその存在が社会に前提にされていないので、居るっていうことが前提になったいろんな制度ができていないっていうことですね。だからそれを居るということにしてほしいというだけの話です。今まで居なかった、つまり居ないかのようにされてきたわけです。それを居るという、真っ当な社会の構成員だっていうことをちゃんと表してほしいというだけの話です。人々の考えが変わる必要はありますので、先程松中さんがおっしゃった教育ですね、これ凄く大事です。都知事は都の小中学校、それから都立高校の教育についてですね、非常に強い権限があるはずですので、子どもたちの教育を変えればですね、段々と社会の考え方が変わっていくんですね。例えば小学校でLGBT教育を10年やるとですね、もう大人になっていくわけですね、どんどん。そうするとね社会っていうのは変わっていきます。ですからちょっと迂遠なようですけれども、教育から変えていただくということが凄く必要だというふうに思います。もちろん教育の現場では、熱心に取り組んでおられる先生おられるんですね。でもやりにくいんですね。例えば校長先生とか教頭先生が理解のある方だったらできるけれども、そうじゃない学校ではできないみたいなですね、非常に不安定な状況にありますので、是非これも制度化していただいて、やるのが当たり前だというかたちに一日も早くしていただく。それが子どもたちを追い詰めないことに繋がるし、いじめとか排除とか自殺とかそういうことを未然に防ぐことにも繋がるんだろうというように思いますので、是非取り組んでいただきたいなと思っております。よろしくお願いいたします。

宇都宮けんじの決意

宇都宮 貴重な提言や意見たくさんありがとうございました。私自身はまず公約に上げてますけど、都知事になったら都としてパートナーシップ制度はなんとしてでも作りたいと思っています。それから今話された教育が重要だっていうのは私もそういうふうに思います。教育、小中学校の教育の段階からですねこういう問題について、きちっと教育のなかで取り上げて子どもたちに理解してもらう。基本的にはこれは人権教育の一環だと思うんですね。それで私自身は弁護士として50年近くやってることになるんですけれど、非常に良かったのは、弁護士の使命は、基本的人権の養護と社会正義の実現ということになってまして。それで基本的人権を守るというのは、非常に権力を持っていたり、経済的余裕のある人は自分で守れる人が多いんですけど、結局は自分で人権を守れない人っていうのは、社会的経済的に弱者であったり、マイノリティの人なんですね。だから長年弁護士をやってくるなかで、基本的人権の擁護というのは、私自身に社会的経済的弱者やマイノリティの味方をするのが弁護士の使命なんだと、そういうふうにその言葉を読み替えて、自分の使命だと思ってやってきています。だからそういう意味では弁護士の仕事をやってきてよかったなと改めて思っています。そのなかでこのLGBTQですかね、性的マイノリティの方がちゃんと制度がないままで将来の希望展望が抱けないということで、若い人で大変苦しんだり、自殺をしたり、家出をしたりする人がいるということを聞きまして、こういう状況を打開することこそ、政治の使命だというふうに思っております。まず東京都政のあり方、政治を変えたいと思いますし、都政を変えるってことは先程鈴木さんも言われてましたけど、日本の政府、日本の政治に大きな影響を与えることになると思います。東京都は法律は作れませんけど、東京都がパートナーシップ制度を作るということは、国レベルで同性婚法を作る大きな第一歩になると思いますので、そういう意味でもみなさんの意見を聞いて頑張って参りたいと思っております。そのためには今回都知事選になんとか当選しなきゃいけませんので、あと7月5日まで10日余りですけど、頑張って選挙運動を展開して、なんとしてでも勝ち抜いていきたいなというふうに思っております。今日はLGBTQのお話をしていただきました。貴重な意見を聞かせていただきまして、大変ありがとうございます。これでZoom政策対談ですか、それでいいんですかね、第何回目になるか分かりませんけれども終わりたいと思います。みなさんどうもありがとうございました。

内田 ありがとうございました。宇都宮さんお疲れさまでした。

松中 小野 鈴木 ありがとうございました。

鈴木 お疲れさまでした。頑張ってください。


自分の経験をもとに思いのまま書いていきたいと思います。 現在「人工股関節全置換手術を受けました」(無料)と 「ハーフムーン」(詩集・有料・全51編1000円)を書いています。リハビリ中につき体調がすぐれないときは無理しないでいこうと思います。