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~「21世紀型スキルと人的資本経営の接着点 」~

この記事では国際団体が定義した21世紀型スキルについて紐解き、日本での人的資本経営の課題点を考察しています。


21世紀型スキルの考察

21世紀型スキルとは、国際団体の「ATC21s」(21世紀型スキル効果測定プロジェクト)によって提唱された、21世紀以降のグローバル社会を生き抜くために必要な能力です。グローバル社会を「生涯学び続ける社会」と捉え、デジタル化されたネットワークの中で協調的に問題を解決する基盤となる資質・能力を設定しています。


ATC21s が示す21世紀型スキルの内容は、4つのカテゴリーに分けられた計10種類のスキルです。
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◆思考の方法(Ways of Thinking)
① 創造力とイノベーション
② 批判的思考、問題解決、意思決定
③ 学ぶことの学習、メタ認知(認知プロセスについての知識)

◆働く方法(Ways of Working)
④コミュニケーション
⑤コラボレーション(チームワーク)

◆仕事のツール(Tools for Working)
⑥情報リテラシー
⑦情報通信技術のリテラシー(ICTリテラシー)

◆世界の中で生きる方法(Skills for Living in the World)
⑧地域と国際社会での市民性
⑨人生とキャリア
⑩個人及び社会における責任(異文化の理解と異文化への適応力を含む)
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経済産業省が定義した未来の人材要件

一方、日本では経済産業省が2006年に提唱した「社会人基礎力」をベースにした人材要件設計が頻繁にみられます。「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されてる社会人基礎力。実は21世紀型スキルと、1点だけ明確に違いがあります。

それは③「学ぶことの学習」が入っていない点です。

学び方を学ぶ必要性についての考察

多様な企業人事の方と育成のお話をさせていただきましたが、「学習を理解するための学習」講座を従業員に提供している例は聞いたことはありません。「今更「学び方」を学ぶ必要は皆無。学び方まで教えるのは過保護ではないか。」その暗黙の前提が日本社会には存在するのではないでしょうか。Amazonで独学を進める本が無数にヒットするのはその証拠かもしれません。

投資家が、中長期的な投資・財務戦略において最も重視すべきだと考えているものは「人材投資」であり、人的資本経営が日本で加速的に取り上げられています。人材への戦略的投資は、投資を集める企業のため、働く従業員の将来のためにも避けては通れない重要アジェンダになっています。

注意しなければならないのは、各企業の「学ぶことの学習」が行われているかどうかです。ともすれば、「コンテンツの量」を投下していれば、人材戦略投資が成功すると誤解しているケースもあります。コンテンツの質×量だけではなく、それを活かす「参加者の学ぶ能力」が掛け合わさって初めて実践で使える力になるのです。

マサチューセッツ工科大学とハーバード大学が共同で制作したオンライン学習プラットフォームedX(エディックス)の研究者ら (Ho et al., 2014) は edXの講座を受け、最後まで学んだ登録者は全体の5%と報告しています。つまり、世界最高峰のコンテンツを届けたとしても、修了証を手に入れるのが5%。修了は知識を使いこなせることを直接意味しないので、「知っている」レベルから「使える」レベルに移行していく割合は・・・もう少し低いと考えてもおかしくありません。

人的資本経営は企業の人的投資を可視化していく流れですが、コンテンツの投下量に終始するのではなく、企業全体で学習する能力を底上げ、コンテンツをどれくらい日常に転移する努力・取組みに目を向けられてもいいのではないでしょうか。

最後に

今回は21世紀型スキルと社会人基礎力の違いから、各企業の人的資本経営についてお届けしました。我々の提供しているミネルバのプログラムは学習を理解するための学習にフォーカスしている点が特徴的です。ぜひ体験会にお越しください。


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