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歯科医療とプロセスエコノミー

 このコロナ渦において、プロセスエコノミーという言葉が注目を集めている。

 従来は完成されアウトプットされた物に対して価値が付けられてきたが、このプロセスエコノミーは物事が完成するまでの過程に対して付加価値をつけるというものである。

歯科医療とプロセスエコノミー

 このプロセスエコノミー、実は歯科医師とかなり関わっている。

 歯という硬組織は骨などと違い、一度壊れたら再生ができない。通常の身体であれば、自己治癒能力で治癒するが歯は違う。虫歯などで歯が崩壊したときは、人工物で補修しなければならない。そのため、歯科治療は患者さんの協力のもと、最後は人工物をお口の中にいれ、噛み合わせを再構築をしなくてはならない。

 その治療を進める上で一番必要となるのが、術者の技術と、それ以上に患者さんの協力が必要となる。患者さんの協力なくして治療はすすまない。

 歯科治療の一番の難点は、期間と回数がかかるということ。この期間と回数を効率化できるよう自分も最大限努力しているがどうしても、しっかりした治療をしようとすると時間がかかってしまう。どうしても患者さんの協力が必要となる。

 それゆえ、患者さんとの信頼関係を構築し、協力を得て、最大限の技術を提供して初めて、きちんとした治療が完了となる。言い方をかえれば、そこで初めて機能的で美しい口の中の作品ができあがる、ということになる。

 歯科医師にとって最も重要なこと

 アウトプットされた治療結果は一番重要であるが、その治療過程のプロセス、患者さんとの信頼関係が治療に付加価値をつけてくれると自分は思っている。
 
 よく、他の病院で、すべての被せ物を入れ換える必要がありこれだけの費用がかかりますと初回に言われ、そこの見積りをもってくる患者さんがいる。それを見ると、実際はやる必要のない治療も含まれていたり、うんざりすることがある。商業的にしか見えない。

 そもそも、あくまで歯科医療であるので想定通りにいかないかともあるし、プロセスをみながら最後にようやくゴールが見えてくる。

 我々歯科医師は、歯を治せばいくらもらえるかという最終的な対価だけに考えが行きがちであるが、プロセスを大事にして患者さんと共に治療の価値を創造することが今後、歯科医師として生き残るのに一番重要であると思う。

 

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