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このミステリーがすごい!大賞『ファラオの密室』を読んだ(ネタバレ注意)

エジプトの死生観と密室事件が題材の面白いミステリーでした。独特の世界観にも関わらず、情景が目に浮かぶような文章とエンターテイメントに溢れた展開で飽きることなく読めました。

ミステリーのトリックなど、少し想像力とおおらかな気持ちが必要な部分があったのは事実ですが、異世界ファンタジー感のおかげで違和感なく読むことが出来ました。


それでも個人的にどうしても言及して成仏したい、腑に落ちない点が二つ。


イセシお父さん、、、それでいいんか?

セティが冥界に帰る前に、セティとイセシが和解するシーンがあり感動的なセリフが続きます。

しかし、よくよく考えてみるとそれはセティが死んだ後であって、しかも死んだ後再会して三日経っている訳で、なんかいい感じのこと言ってましたけど。。。それ今言う?!

死んだ後に後悔したにせよ、そんだけセティのことを想っていたなら再会直後か初日に言うもんじゃない??

それでいいんか!?セティもそれで冥界で成仏できるんか?!

てか母さんと本物セティ可哀想すぎん?!

え、セティって女性なん

もう一つがセティが女性でタレクに恋をしている必要性がわからん。。。

元々奴隷でした、と言うのが十分大きな嘘になり得るし、そこをもっと深ぼって父親との絆や両者の感情を描けば、もっと深い親子愛を描けたのではと思ってしまいました。

実際タレクはどう想っていたんだ、とか
父親は女性だったことを知ってたのか、とか
なんで生前に打ち明けることはしなかったのか、とか

疑問がいっぱい残る結果になってしまいました。。

てか胸を切り取るために自分の心臓に向かってナイフを刺すか?もっと胸を削ぐような形で刺すくない?ましてや足が跡形もなく潰されたんだから、上半身も潰されると思うのが自然ではない?てかそもそもあの時代に性別を偽るとか無理n…(略

まぁ、そもそも死者が生き返っているわけだし、これくらいの違和感では破綻するような世界観ではないのですが、一番盛り上がるクライマックスでの展開だっただけに気になってしまいました。

まとめ

筆者の履歴を見ると、どうやらゴリゴリの経歴を持っているようで、機械学習の研究者、起業家、ボードメンバーとなんかすごすぎる、、、!!

情景の豊かな描写や細かな舞台設定に反映されているようでした。本の最後に乗っている参考資料一覧が論文っぽい、、、w

総合的にとても楽しんで読めたし、さすがこのミス大賞の作品と感じるエンターティメント作品でした。ただ個人的な好みとしては、ミステリーに振り切るならばもうちょっと凝った演出して欲しいと思ったのと、もしそれが出来ないのであれば、人間関係をもっと深ぼった描写をして欲しいと思ってしまいました。

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