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Perfect Days を観た

人は名前を与えることでその現象を認識し、理解することができると言われています。

早朝の竹箒の音

遠くで鳴くカラスの声

二度と同じものはない空の形

全く同じ平凡な日に見えても、そこには確かに新しい何かがあって、それは優しく私を包み込んでくれているようです。


主人公の平山は恐らくずっとトイレ掃除をしてきた人ではありません。仕事への姿勢や明らかに富裕層と見える妹とのシーンが示唆していると思いました。

しかしどのような経緯でこのような生活にたどり着いたのか、劇中では全く語られることはありません。

それは、”人はみんな全く違う世界に住んでいて、それぞれは繋がっているようで繋がっていない。" というセリフが表す真骨頂の様に思います。

どのシーンもセリフは極端に少なく、私たち観客は主人公の心境すらも推測しなければなりません。それは異なる世界に住んでいるのだから、当たり前なのだと言わんばかりです。


平山の本当の気持ちはわからない。なぜ最後泣いていたのかもわからない。

それでも、平山の瞬間を慈しむように味わう姿は非常に美しかったです。

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