英語のリスニングができない理由について説明しました

この記事に書いてあること

英語の勉強されている方向けに書いています。

「知っている単語で話されているのに、なぜか正しく聞き取れない…」という相談をいただいたので、その理由についてかいつまんで説明しています。

このnoteを書いているひと

ITの会社に勤務している会社員です。前職は翻訳会社で働いていて、英語と日本語で翻訳業務に携わってました。現職でも会議の通訳や資料の翻訳などすることもあります。よろしくどうぞ。

はじめに

同じ会社の方が英語勉強されているときに実際あったそうなのですが、

The men are dressed in winter clothes.

という文章が、

The men addressed in winter clothes.

に聞こえて「あれ??」となったそうです。

このように、読まれた英文と異なって聞こえるのには、大きく2つの理由があります。今回はこれらについて説明していきます。

理由その1…そもそもちゃんと発音されない単語だから

実のところ、英語の単語は下記の2種類に分類されています。

・しっかり発音される単語
・雑に発音される(というかほぼ発音されない)単語

嘘に聞こえるかもしれませんが、本当です。
「あの単語、聞き取れなかったな…」というとき、実際は聞き取れなかったわけではなく、ろくすっぽ発音されていないので、そもそも物理的に聞こえるはずがなかったというケースがあるのです。信じられないかもしれませんが、ホントです。

この点を理解いただくために、英語と日本語の発音のされ方の違いを解説していきます。

解説 英語と日本語の発音の違いについて

大原則として覚えてほしいのは、英語は「メリハリのある、強弱をつける言語である」と理解してください。
英語はメリハリをつけるので、大事な単語ははっきりと、大事じゃない単語は悪く言うと雑に発音されます。
大事な単語、大事ではない単語とはぞれぞれどういったものでしょうか。

言語学的には、前者を内容語、後者を機能語と呼びます。

どういった単語がそれぞれの区分の単語になるのかについては、下記を参照してください。

内容語(=しっかり発音される)

・名詞
・動詞
・形容詞
・副詞 

機能語(=雑に発音される)

・代名詞
・助動詞
・接続詞
・冠詞

なぜ機能語ははっきりと発音されないのでしょうか?
シンプルに、これらの単語は無くても大体言いたいことがわかるからです。

例文を使って解説します。

I want to go to the office tomorrow.
(私は明日オフィスに行きたいです)

この文章から機能語(=しっかり発音されない単語)を消します。

want go office tomorrow.

機能語なしの文章だけ聞いたとしても、「あー、明日オフィス行きたいのね、はいはい」となんとなく意味がわかるのではないでしょうか。

日本語はすべての単語を平等に同じ強さで発音する言語です。なので、日本語話者的には上記の文章をこのように読み上げたくなります。

" あい わんと とぅ ごー とぅ じ おふぃす とぅもろー "

しかし、いわゆる欧米の英語圏のネイティブの英語だと、このようには発音されません。機能語に分類される各単語は、下記のような発音になります。

I :
「アイ」とははっきりとは言わず、「イ」の方の発音が弱くかすかに発音されます。体感だと「アッ」くらいにしか聞こえないこともあります。
to:
そのまえに出てくる動詞とセットで1つの単語であるかのように発音されます。want to は「わぬー」、go toは「ごとぅー」のように発音されると思ってください。
the:
ほぼ発音されません。体感だと「」くらいな感じ。

まとめると、I want to go to the office tomorrow.は下記のように発音されます。

" アッ わぬー ごとぅーッ おふぃす とぅもろー "

もしも、"あい わんと とぅ ごー とぅ じ おふぃす とぅもろー" と発音されると思っていると、全然予想と違うので、全体的に何と発話されているかわからないという結末を迎えてしまいます。単語のレベルだと中学1年生でもわかるはずなのに、なぜか聞き取れない…という事態に陥ります。すべては、この英語特有の発音のされ方を理解していないことが原因です。

余談ですが、雑に発音される単語は、単語の一部が「'」で省略されたり、よく組み合わせとセットになって姿を消す、ということがあります。

【例】
I am 👉 I'm
rock and roll 👉 rock 'n' roll (and、ほぼ消されちゃいましたね…)
want to 👉 wanna
going to 👉 gonna

ちなみに、上記のような省略表現はくだけた表現になります(日本語でいうとタメ口のようなイメージで思ってもらえれば)。業務で使える英語を学びたいのであれば覚えなくていいです。使いたい場合は、TPOわきまえて使ってください。

上記の説明は機能語、内容語のざっくりした概要の説明になります。これらについてより詳しく知りたい場合は、ブログやYouTubeでより詳細な説明をされている記事や動画もたくさんあると思いますので、「英語 機能語 内容語」などと検索してみてください。

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ここで、冒頭に出した例文を見てみます。

The men are dressed

この文章の「are」が雑に発音される種類の単語だったため、ほとんど「a」の音だけしか発音されなかったようです。「あー」としっかり長く伸ばす音も発音されていれば聞き取れていたはずですが、現実には「」と一瞬だけ「a」が発音されていたと考えられます。

こうした事象が、リスニングを難しくしている1つめの理由です。

理由その2…複数の単語が1つの単語に聞こえてしまっているから

リエゾンやリンキングと呼ばれる現象になります。これは2つの連続する単語が、音声的に1続きに聞こえる現象です。
様々なパターンがあるのですが、大きくは下記の2通りに分かれると思ってください。

パターン1…2つめの単語が母音(あいうえお)で始まるケース。

2つめの単語の母音が1つめの単語の子音につながります。

【例】
get it 👉 getit 👉 「げってぃと
のように発音されます。「げっといっと」ではありません。

ちなみに、itは代名詞なので、理由その1で説明した「雑に発音される」部類の単語になります。it事態がろくにちゃんと発音されず「イッ」くらいにしか聞こえないレベルになることもあります。なので実際には、get itは「げてぃ」のようにしか聞こえない事も多いです。

冒頭の例でも、こちらに近い現象が起きています。

理由その1で「are」が「a」に聞こえると説明しました。そのうえでさらに、次の単語とつながっていくと、どうなるでしょうか。

are dressed
👉a dressed(areの発音が弱い)
👉adressed(次のdressedとつながる)
👉「addressed」のような発音になる。

このような変化を遂げていった結果、

The men addressed in winter clothes.

と言っているように聞こえてしまうわけです。

なお、理由その2にはもう1つ代表的なパターンがあるので解説します。

パターン2…「た行」(たちとてと)または「だ行」(だぢづでど)、で終わる単語と始まる単語が連続するケース。

1つめの最後の「た行」 または 「だ行」の発音が消えます。具体例で説明します。

【例】
wet tissue 👉 wetissue 👉 「うぇっとてぃっしゅ」、ではなく「うぇってぃっしゅ
「うぇっと」の最後の1文字が「と」なので、た行で終わる単語。
「てぃっしゅ」は最初の1文字が「て」なので、た行で始まる単語です。
2つの単語の間で、「た行」の文字が連続することになります。この結果、「うぇっと」の「と」がほぼ発音されなくなります

リエゾンやリンキングについては、細分化するとこの2つ以外にもパターンが存在します。まずは中でも頻度の高い上記のものから理解して覚えていただければと思います!
さらに細かいパターンについて知りたい場合は「英語 リンキング」などで検索して調べてみてください。

ちなみに、この現象は英語特有のものでなく、日本語でも似たような見られる現象になります。

みなさん、こちらのセリフ、何といっているかわかりますよね??

 
「ぶっ倒す」=「ぶち」 + 「たおす」ですよね。
「ぶち」は、た行で終わる単語。「たおす」は、た行で始まる単語です。
この2つが連続した結果、「ぶち」の「ち」が発音されなくなり、「ぶっ」に変化してしまうわけです。日本語でも英語でも、似たような現象が起きているのです。

まとめ

知っている単語が話されているのに、リスニングができないのは大きく以下2つの理由によります。

その1…そもそもちゃんと発音されない単語だから
その2…複数の単語が1つの単語に聞こえてしまっているから

リスニングの勉強をしていて聞き取れない箇所があった際、上記どちらかまたは両方が発生している可能性が高いです。

どういった単語の並びだと、どのように聞こえるのか、日々の勉強のなかでパターンを覚えてみてください。

なお勉強の仕方の参考として、リスニングの勉強法を書いた自分のnoteご参照くださいませ。

長くなりましたが、ご精読いただきありがとうございました。

おまけ

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