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【第54回】被害者だって笑っていいんだ『アンビリーバブル たった一つの真実』エミー賞2020リミテッド・シリーズ作品賞紹介⑤

【海外ドラマファンのためのマガジン第54回】

エミー賞授賞式は終了しましたが、まだ候補作の紹介が終わってないので、コツコツと続けることにします。(ほんとは受賞式までに終えるのがカッコよかったな)

被害者は、その人それぞれの反応を見せる。

レイプ事件というのは、被害者が自ら通報したり、病院に行くなどして自発的に行動を起こさないと、事件として発生しないんですよね。
だから、うやむやになることもある。
自己申告制なんです。

でも、被害にあった直後に「病院にいかなきゃ」とか、「通報しなくちゃ」とか冷静に判断しなくてはいけないなんて酷です。

できたとしても、そうとう気をはって無理やり頑張っている状況です。

そんな心理状態で、警察の聴取を受け、事件の詳細を最初から最後まで思い出し、自分の口から語らなければならないのです。
やっぱり酷です。

何度も同じことを聞かれ、答えていくうちに被害者のマリー(ケイトリン・ディーヴァー)は、「もう早く家に帰りたい」という感情になり、言ってることがあやふやになってきます。

そんな彼女の様子を怪しんだ男性刑事が、彼女の境遇などからも、
「注目されたくて、作り話をしているのではないか?」と疑い始めます。

そして、彼女の周囲の人たちも、「被害者なのに笑ったり、普通に生活しているのはおかしい。」と、考え始めるのです……。

このドラマの犯人は連続して女性を襲っているので、たくさんの被害者が登場します。しかも、年齢、人種もさまざま。

     彼女たちの事件後の生活は、みんなそれぞれ違います。

動揺している人、気丈に振舞っている人、もう思い出したくないと思っている人、あえて普通の生活をしようとしている人。
男性の友人に支えてもらっている人もいれば、だれとも会いたくないと思っている人もいる。

被害者であっても生活は続けなければいけないから。

人前では気丈にふるまっていても、一人になれば事件の記憶に悩まされ続けています。

犯人を追いかけている二人の女性刑事グレース(トニ・コレット)と、カレン(メリット・ウェヴァー)が、被害者の女性にこんなことを言っていました。

「事件当時のことを細かく思い出して乗り越える人もいれば、何も思い出せないことで自己防衛している人もいます。どちらも当然の反応です。」

だから、
「被害者なのに、笑っているなんておかしい」
なんてことは、的外れ極まりない指摘なんです。

警察のダメな捜査と、地道な捜査の両方を描くことで、レイプ事件の後に生じる問題点を浮き彫りにして理解させていくドラマでした。秀逸です。

第72回エミー賞 リミテッド・シリーズ部門 作品賞 候補作

4ノミネート『アンビリーバブル たった1つの真実』Netflix

ノミネート主要部門
作品賞
助演女優賞 トニ・コレット
脚本賞 第1話「エピソード1」スザンナ・グラント、マイケル・シェイボン、アイエット・ウォルドマン


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