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映画『見知らぬ人の痛み』をオンライン試写会で見たから感想をレビュー


『見知らぬ人の痛み』は

訳あってネット上の残酷な写真や動画を検閲する仕事をする事になった女性を描いた短編映画です。

普段ちゃらんぽらんな僕なんかがアレコレ言っていいのかと恐縮してしまうような、良い映画でした。

こういう仕事ってエロだけを削除するならいいけど、グロ系の画像や動画は普通の人なら確実に精神を病みそうですよね。

幽遊白書で「黒の章」という人間の極悪非道な行為だけを延々と治めたビデオがあるのですが、それを見せられた御手洗君の気分でしょう。

ガンジーやマザーテレサのような人間もいるけど、ネットに嬉しがって虐待動画やスナッフ映像をあげるのも、同じ人間なんですよね……

こういう仕事はAIが導入されているのでしょうが、まだまだ人間による部分もあるのでしょうね。Googleのbird(会話型AIサービス)にチャットで官能小説を書かせようとしたり、歪んだ性癖のエッチな質問ばかりしていたら

『AIへの質問は人間が見てチェックしてみる事もあるから気を付けような!』みたいな文章で怒られた事が何度もあります。

その時は全く意識してなかったのですが、もしかしたら、僕の質問が「見知らぬ人の痛み」状態になっている可能性もあるのかと考えると心底ゾッとしました。

メタ的な話かもしれませんが、
映画に登場する主人公の彼女も、僕たちから見たら見知らぬ人…
彼女が見ている映像越しの誰かの痛みと同様に他人の痛みです。
主人公以外の人たちも少なからず葛藤があったりしますが、どこまで行っても他人事です。

でも、映像の中の世界に思いをはせる事はできます。彼女は見知らぬ人の痛みと向き合い、自分の中でどのように昇華させていくのか、そして自分の心の中の痛みとどう向き合うのか。この辺りの葛藤や描写が秀逸で見所です。


「見知らぬ人の痛み」は、4/19(金)からテアトル新宿ほか全国で公開予定なので、興味があるひとは、ぜひチェックしてみてください。


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