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ある朝ごはんの思い出

昨日から京都に来てまして、今日東京に向かいます。

昨日の夜、お腹がまったく空かなかったから朝ごはんをしっかり食べようと、前から行きたかったスマート珈琲のモーニングを食べに出かけたら、ホテルからスマート珈琲に行く間の道に錦市場がありました。

錦市場の卵焼き屋さんが朝ごはんをしていて「ええなー」と思いながら一度通り過ぎたけど、何だか気になって、行きたかったスマート珈琲をあっさり蹴って錦市場の朝ごはんを食べた。

焼きたての卵焼きを食べて、ふと思い出した事がある。19歳の頃、短大の授業でペアを組んで課題を書き上げてくるという宿題が出て、音楽好きの同級生の家に泊まりに行った。課題をまじめにやってたけど、同級生が「クラブに行きたい! 課題は後で大丈夫! 行こう!」と言って、22時までに帰れるなら…という条件を出して難波に行った。

友達が行きたいと言ってたクラブはコブラとかのパンクイベントやってた。パンクちょっと苦手なので早く帰りたくて、私は22時に同級生宅に間に合うように、約束の時間だから行こうと言って、悔しがる同級生を尻目に駅に急いだ。

同級生の最寄り駅に着いた時に、2人組の男性に声をかけられた。女ふたり連れだったからだろう。ぜんじろう似の男と、野球の清原似の男だった。念の為に30年近く前のぜんじろうと清原似である。※今の清原なら怖すぎる。

私はやめて帰ろう!と言ったが、同級生は「お願い! 一杯だけ!」と言って譲らないので一杯だけならと行く事にした。

同級生は楽しそうだったけど私は早く帰りたかった。やっと帰る感じになって、同級生が自転車を取りに行ってくると言うと、ぜんじろう似の男も一緒に着いて行った。

なかなか戻って来ないので、私は「探しに行きます」というと、清原似の男が「アイツらはホテルに行った俺たちも行く」と腕を掴まれて、キモイ!!と思ったのと怖かったのと同級生に裏切られた気持ちが入り乱れて、大泣きしながら罵詈雑言を清原似の男にぶつけると去っていった。

同級生は戻って来なくて私はひとりで泣いていた。同級生の家もわからないし、終電もない。お店も閉店するので泣きながらお店の人に事情を言って近くに24時間のファミレスがないか聞いた。

店長は困って厨房のおじさんを呼んで片付けはいいからファミレスまで連れて行ってやれと言ってくれた。

厨房のおじさんの自転車で2人乗りしてファミレスに行き、何でも好きなものを食べなと言われ、事情を聞いてくれて、それはお姉ちゃんは悪くないなーと同情してくれた。

途中、同級生から電話がかかってきたけど嫌で出なかった。

明け方になると厨房のおじさんは「ファミレスで何も食べてないからうまい朝メシをご馳走してやろう」と、また2人乗りして市場に行った。

見知らぬ町の市場の朝ごはんには焼きたての卵焼きが出てきた。美味しかった。美味しくて泣けた。

それから始発くらいの時間になり、おじさんは駅まで送ってくれた。自分で中華屋をやってるが稼ぎがすくないから深夜の居酒屋で働いてると言ってた。

改札で何度も頭を下げてホームで電車を待つ間にタバコを吸ってみた。

そんな思い出。

あの朝の市場の朝ごはんと卵焼きを思い出して、卵焼きを食べながら何だか泣きそうになった。

あのおじさん元気かな。

あの同級生も元気だろうか。

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