【映画感想】百花⭐︎⭐︎
2022公開。
原作、脚本、監督、河村元気。
出演者、菅田将暉、原田美枝子、長澤まさみ、北村有起哉、岡山天音、河合優実
葛西泉と香織の夫婦には、もうすぐ赤ちゃんが産まれる。ところが同時期に、泉の母が認知症に。症状が行動や言動に少しずつ現れていく中、泉は母の日記を見つける。たった1年分の日記。それは泉が中学2年のとき、母が失踪していた時期のものだった。母の認知症が進む中、泉は蓋をしてきた中学生のときの記憶を、思い起こしていた。
中学生のときに突然いなくなった母親、しかも理由が男だったら、そして普通に何事もなく帰ってきたら、子はどうするでしょうか。そのときは聞かなかったのかな? 怒らなかったのかな? 優しい男の子なら、それもありうる気がします。娘だったらこうはならないかも。私はこの母は息子の優しさに甘えて、利用したんだと思います。自分の身勝手な行動も、あの子は許してくれるって。身勝手な人は優しい人を嗅ぎつけて、びっくりするくらい身勝手に振舞いますから。
中学のときは、1人では生きられないから仕方なく受け入れたとしても、大人になってからはどうでしょうか。そんな親捨ててもいいのに、たぶん泉は優しいから忘れたことにしたのでしょうか。
知り合いにとても優しい人がいます。その人の話によると、両親がものすごく身勝手だそうなのですが、文句ひとつ言わずに言うことを聞いているそうです。理由は「言っても10倍かえってくるし、もう仕方ないから」。そうやって身勝手さを許し続けちゃうとどんどん身勝手さは増し、その上相手は自分の身勝手さに、全く気付かないんですよ。それで私は関係ない他人なのに、腹を立てるという意味のないことをするんです。
人の優しさにつけこんで、身勝手なことするのはいけないと思います。しかも子どもという弱い立場の人相手に。
でも母親を好きな優しい息子は、母親を捨てたりはできないんです。当然。そして母親はそれをわかっている。
あー腹立ってきた。
まあ泉の心は泉のものなんで、許すも許さないも泉の勝手なんですけど。
ただ親が、子の優しさにつけこんで利用しているのが、許せないんです。