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【映画感想】陽だまりハウスでマラソンを⭐︎⭐︎⭐︎

 メルボルンオリンピックの金メダリストで伝説のマラソンランナー、パウルとその妻マーゴ。2人とも高齢になり、マーゴの病気もあって日常生活もだんだん困難に。娘から強く説得され、夫婦で老人ホームに入居する。
 しかしそこでは、毎日お人形づくりなどの工作やコーラスなどばかり。そんな生活はイヤだと、パウルはマーゴに協力してもらい、フルマラソンでオリンピック出場を目指してトレーニングを開始する。
 ただ、施設の活動を全て拒絶したため、施設職員、他の入居者からは変人扱い。医師による診察を受けさせられて、病人にさせられそうになる。それでもトレーニングをやめないパウル。心臓の持病もあり、トレーニングは困難を極める。
 パウルは、マラソンを完走できるのか。

 生まれてきたら、必ず命は尽きると決まっています。これは絶対です。人生の終末期を納得していない環境で暮らすのは、たぶんとても受け入れ難いことなんでしょう。パウルの気持ちもなんとなく分かります。

 娘さんの気持ちもわかります。仕事をしながら2人の面倒はみられない。だから施設に、は自然な流れですし、むしろ親孝行です。

 施設の職員の方の気持ちも分かります。新しい入居者が、いきなりマラソンのトレーニングを結構本格的に始めて、他の入居者も驚きつつだんだん応援したりして、これは戸惑うかもしれません。大人しくしてて! と思うかもしれません。でも本人の同意なく診察受けさせたり、投薬して大人しくさせようとかは、絶対ダメだと思いますけど。

 老後のことを思うとなかなか大変そうで、全く「いいこと考えた!」が1つも出てきませんけど。見終わって感動もしましたが、ちょっと暗い気持ちにもなりました。

 そんな中救いなのは、パウルとマーゴの仲の良さ。事あるごとに「私たちは風と海ね」と言って、本当に仲良しなんです。電車でお出かけするシーン、かわいかったです。こんなご夫婦になれる確率って、どのくらいでしょうか。数%? さらに「自分が」とつくと、もうゼロに近くなってしまうのでは…と結局また暗い気持ちになるのでした。

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