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掛取引のキホンを押さえよう

経理部門で使う簡素なWebアプリケーションを一人で書き上げたのですが、自分は会計システムに疎く、まずBtoBにおける信用取引(掛取引)の概念を理解する必要があったので、少し勉強しました。

せっかくなのでアウトプットします。
本稿では、プログラミングとかシステム寄りの話は一切出てきません。

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売掛金って何?

取引先に、商品(またはサービス)を後払いによる取引で販売し、代金の支払いを受け取る権利・後日受け取る代金のことを言います。
まだ受け取っていない代金、つまり、後払いによる信用取引の未収分を計上する際の勘定科目でもあります。

後払いで購入した側にとっては、買掛金になります。

信用取引って何?

平たくいうと、飲食店のツケ払いみたいなもの。
BtoBでは、商品の代金をその場で都度支払うことは稀です。
取引回数が多いと手続きが煩雑になってしまうので「一定期間の代金をまとめて回収する」という取引手法が採られます。
このような取引は、相手が代金を支払わないリスクがあり、与信(信用を与えること)で成り立っているので、信用取引と呼ばれるわけです。

支払条件(サイト)って何?

取引の締日から支払期日までの期間です。締日まで取引代金を管理し、支払サイトを設けて一定期間後にまとめて回収します。
代表的なのが「月末締め翌月末払い」で30日サイトとも呼ばれます。締日から支払いまでが約30日あるからです。
支払サイトという言い方は日本独特のようです。英語では Payment term とか Usance が使われます。

勘定科目について

  • 売掛金
    先述の通り、将来代金を受け取る権利があるものです。

  • 未収入金(未収金)
    営業活動以外(例えば固定資産や有価証券の譲渡、不動産の貸付などですね)の取引による代金のうち、未回収のもの。

  • 未収収益
    通常の営業取引で、継続する契約によって生じた購入代金のうち、未回収のもの。

  • 買掛金
    将来代金を支払う義務があるのもの。

未収入金未収収益の違いが分かり難いですが、前者は、期日は到来しているが未だ支払いを受けていない債権・一時的な取引から発生したものであり、後者は、支払期日が到来していない(損益の見越し計上を行うための経過勘定)・継続的な取引から発生したもの、と言えるようです。

売掛金処理の流れ

通常、次のような流れで行います。

売上計上

売上計上は、売上を帳簿に反映することで、商品(またはサービス)の提供が完了したタイミングで行います。
なにをもって提供完了したかとするかですが、商品を出荷した日とする出荷基準、取引先に引き渡した日とする引渡し基準、取引先が検収を行った日とする検収基準などがあります。

入金確認

入金確認は、売掛金の支払期日などに入金の有無を確認する作業です。
入金日、振込名義、金額を確認して、請求内容との相違をチェックしていくことになるのですが、取引先によっては、案件ごとに入金されるケースと、まとめて入金されるケースとがあり、なかなか大変な作業です。
相違があれば、納品書を確認したり、営業担当者に値引きや返品の有無を確認するなど、原因究明に努めます。
支払期日を過ぎても入金がなければ、営業担当者に督促するのも経理の仕事です。

入金消込

入金消込は、売掛金の入金が確認できたタイミングで行う作業です。
売掛金として計上していた金額が入金されたことを帳簿に反映し、売掛金を消すことを言います。

売掛金の管理

売掛金の管理は企業活動の最重要です。
商品(サービス)を販売したら、その代金(売掛金)を確実に回収して資金とすることで、企業は存続していけます。
回収の遅れや貸し倒れは会社の存亡を左右するのは勿論、売掛金の回収を疎かにしている会社は、金融機関からの信用も得られません。

売掛金を適切に管理するには、取引先別に、いつ売上が発生し、いくら回収されていないのか、月別に分析するのが良い方法です。

具体的には、取引先毎の売掛金の未収入金残高を、入金予定日を基準として、例えば月毎の一定間隔で区分して管理できる一覧表を作成します。
このような一覧表を売掛金年齢表と言い、滞留している売掛金の状況が分かるので不良債権の発見に繋げることができます。

得意先毎に支払条件は異なりますが、例えばある得意先の支払条件が「月末締めの翌々月末払い」であれば、売掛金年齢が3か月を超過することはあり得ません。
この場合、支払の催促や取引の一時停止等も視野にいれ、回収不能となるリスクを最小限にします。

支払いが遅れていれば理由を確認しますが、原因が自社にある場合もあります。例えば、クレーム対応が不十分なため取引先が代金支払を見合わせているなどです。

さいごに

銀行振込では振込人の特定や金額の照合が困難な場合があり、取扱い件数が増えてきたら、売掛金の管理をツールで自動化(システム化)することを検討すべきです。

マインドウッドでは、企業のバックエンド業務を支える人事・給与・勤怠・会計システムとAPIで連携できる「痒い所に手が届くツール」の制作も請け負っています。詳細はホームページからお問い合わせ下さい。