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2-2 パナソニック吉田×京都府立医科大 木田

※ こちらの続きです
モチベーショングラフに基づいた2-1に続き、
2-2ではスピーカー同士で決めたテーマで話します。

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吉田
今回は、僕がこれまで行ってきた「自問自答を通じて自分を深める」というこを追体験してもらい、学生のうちにどういうことしておきたいかを考えるきっかけにしてもらえたらと思います。

1、自分の性分は何か

吉田:医療という観点で、「ご自身がなぜそれをやりたいか、と聞かれると根源的な理由って何」だと思います?
木田:昔から生物・生き物すべてに興味があるからです。

吉田:子供の時から虫とか好きだったんですか?
木田:そうですね、動物や虫は好きでした。今はもう虫は好きじゃないですけど、ハムスターとか犬とか飼ったりして人と違う部分を”すごいな”と思ったりします。

吉田:子供の時から一貫して続いている興味はなんなのか、と言われるとやっぱり生命とか?
木田:そうですね、生命自体もだし、人間の論理的でない部分・ばらつきも面白いなって。よくわからない行動をするとこが面白い

吉田:あー!その観点、お話できて嬉しいです。
愛読書のドストエフスキー・『地下室の手記』という本でも「人間は”こっちに進んでも得がない”と分かっていても踏み込みたくなることってあるよね」ということが書かれています。彼はそれを「業」と言うんですけど。

話が逸れますが、本って自分の血肉になればいいと思うんです。
木田さんはすでに血肉になってますね、素晴らしいです。

2、苦労と思わない、得意なこと

吉田:続いて、「自分にとっては苦労ではなく、むしろ得意なこと」ってありますか?

僕だったら旅行に行こうとなった時に計画を立てるのが好きです。
旅のしおりとかコツコツ作るみたいなことしちゃう。それは苦労ではなく、やらないとイヤ。(旅先で)次のスケジュールが分からないのもイヤだし、次どこ行って…ということも忘れたいからしおりに書いておくという発想です。
あとは初対面の人と話せること。実家が旅館やってたので、いろんなお客さんに対応するみたいな経験がそうさせたのかもしれません。

木田:そうですね、人のやりたくないこと-しおりとか-も「自分のためになる」と思った瞬間に、他の人から見たら面倒なことでも全く気にせずやれるようになるなと。

吉田:自己解釈でプラスになると思えば「俺、やるよ」ってなるタイプ?

木田:そうですね、そういうタイプかなと感じてます。でも自分のためにならないことはやらないのか?と自問自答しまして。結局、「全部自分のためになる」と、辛いことも谷の先には山があるみたいな考え方に少しずつなってきました。もともと心配性でネガテイブだったのですが、それでいらない不安や不幸もあったのかなと思い、もう少し気軽に考えてみようと切り替えるようになりました。

吉田:この質問の意図を話しますね。
「苦労とも思わない」ことっていうのは、他の人は苦労してキャッチアップするものだから他の人は絶対に勝てないはずなんです。
つまりその「苦労とも思わない」ことは木田さんにとっての”得意”に繋がるのではないかというわけです。

これ、他の人にも聞いて見てほしいです。おすすめは自分のことをよく見てくれてる人。友達や家族やパートナー。具体的でニッチなものが出てくれば出てくるほどそれは性分だから強みにしていけるといいと思います。
家族からこういうの得意だよねと言われることってあります?

木田:…あんまり家族とそういう話したことないですね。

吉田:ぜひやって見てください、恥ずかしいけど聞かせてー、と。


吉田:では、ご家族と比べた時に似てること、似てないことってありますか?
木田:あまり似てないのかなと思ってます。姉が二人いるんですけど、姉は母の影響を受けてるかなと。いろんなとこでちょっと雑なんです。
そういうのを見て子供心に似ないようにしてた感じはあります。

3、時間を忘れられる対象

吉田:次は、「何をやってる時、時間を忘れられ」ますか?

木田:医療も込みで、”答えのない問いについて話すとき”はいくらでも話せるというか、気づいたら時間が経ってることがあります。

吉田:答えはなくていいんですか?

木田:そうですね、自分たちの中で着地すれば。

吉田:たぶんそれって好きなことだと思うんですよ。
就活の時を思い返してたんですが、好きなことは名詞で終わらせると訳分からなくなるので、動詞で終わらせる-「〜している」、にするといいんですよね。あとあとそういうこと言説も見たことがあるんですけど。

例えば、「焼肉」は「焼肉を食べること」じゃないですか。だから「焼肉を出すこと」を仕事にしちゃうと辛くなるじゃないですか。行為を好きになれるならばそれが好きだということです。

僕の場合は「1つのことを深掘りする」のが好きだったので、人事の”なぜ”を落とし込んで制度を作る、みたいな仕事が好きです。木田さんは答えのないことを考えるのが好きなのであれば、医学は本当に好きなことを選ばれたんですね。

4、自分ってどんな人?

吉田:「私を第三者に紹介するなら一言で言うとどんな人か」はどうでしょうか?

木田:考えて行動する、論理的に話すし考えるんだけど、人間関係はフランクに面白く。というのはあるかなと思います。

吉田:今のは”自身についての間主観をどう捉えていくのか”を明らかにしたい質問でした。友人や家族に同じ質問をすると多分違うじゃないですか。見せてる表情も違うし。
(木田さんに近いところだと)考えて進めなくなるタイプもいるじゃないですか。

木田:そうですね…僕も、考えて「やめとこう」もそれなりに多い気がします。考えること自体が好きだからなんでしょうね。

吉田:木田さんのことがすごく分かりました。木田さんは質問をする必要もないくらい、ご自身のことをよく分かっているような気がしますね。

木田:自分ではそこまで思っているつもりありませんでした。
ただ、”考えること”が自分の好きなことっていうのは改めて思う一方、たまには”考えないこと”も大事なのかなって思うこともあります。例えば人間関係。正論を言っても仕方ない時とか、そういう時の折り合いがだんだんつかなくなってきているのではないかと。頭の中で論理を組み立てすぎて、気楽に動くことが出来ない自分がいます。

吉田:思考と行動のパターンが自分のなかで定型化してしまうことってありますよね。分かる。常々やってることが本当にいいのかとか。

木田:”考えない方がいいこと”ってありますかね?

吉田:それは自分の場合は無理でした。
ただ、-将棋で「10分待って打つ時」と、「30秒で考えなきゃいけない時」とがあるんですけど-、そんな感じで思考の時間にリミットを決めてしまう、ということをやってみる。考えない、感情的になる、が自分は無理だったから、10秒だけ考えようというやり方はやってみたりしました。

仕事ってまさにそういうことで、たくさん考えられるときと、目の前の事象を解決しなくちゃいけない・急いで判断しなくてはいけない時が出てきますが、どこまで思考をクイックに出来るのかというのは訓練出来ます。
無理に”考えないように”というより、思考を濃縮する感じ。
そこで誤った時が大事なんですよ。この考え浅かったなって時に、次どういうフレームワークを身に着けなくてははいけないか?という学びになります。

木田:いわゆるPDCAみたいなことですね

吉田:そうですそうです。

木田:今までずっと悩んでたことだったので、すごく参考になりました。

吉田:それは仕事が磨いてくれることでもあるので、待ちに待ってていいと思いますよ

木田:おおー!働くのが楽しみになってきました。

”あえて流される”という決断方法

吉田:仕事を選ぶ時-人事になった時、いい形で"流されたことを選んだ"自分がいました。

木田:どこまで”流される”ことが出来るのですか?

吉田:確固たる部分が揺るがないなと思ったら預けられます。
考えたことを発揮できる仕事・会社でありそうか?を考え、出来そうだと思えたので、人に委ねたほうがい決断をできるかもと感じました。

間違いなくフィットするだろうなという合格点に達して欲しい部分-近しい価値観を持ってる人が近くにいるような環境-って大事で、その上であとは自由に踊りなさいという環境であれば、何を任されるかはある程度任せていいと思っています。
自分で選んだ!だけではない、自分の意思で他人に選ばせた!という感覚。

木田:他人に選ばせた、と言いつつ、自分のためになると思ってってことですよね

吉田:そうです、自分に見えない窓を見に行くという感じ。

木田:僕は基本的には自分で全部決めようと思ってます。医学で言えば、「偉い先生が言ったから」に惑わされない。日本人は権威が与える影響って特に大きいのかなと思うんですけど、それはダメだよと言われたとき、確かにそうだよなと思って。
誰の意見でも全て参考程度に、優劣なく聞いてるつもりです。

吉田:他人に委ねた経験はどうでしょう?メドキャリとか。
木田:確かにメドキャリに入った時は”他人に委ねた”のかもしれません。


吉田:何科になる、というのは今後決めていくんですか?

木田:そうですね、「仕方ないからこれになる」というだけの余白はないといけないかなと。

吉田:流されるのがしんどくなってしまうなら、その前に、「ここなら流されてもいい」というラインを考えておいたりとか。

木田:ものさしを決めておくという感じ?

木田:そうです、ストライクゾーンをドンピシャで決めるのではなく、ゾーンで捉えておく。内角ならいい、といった感じです。

吉田:どういう医師に、というのはどれくらいのスパンで考えるんですか?

木田:学生のうちに強い意思でこの科、というケースもありますが、多くは研修医期間にローテーションですべての科を回ってから決めるのかなと。

吉田:木田さんはこれから?
木田:もちろん漠然とした”あっちよりはこっちかな”というのはあるんですが、研修を経て決めたいです。

吉田:悩みはあるんですか?

木田:やりたいことをやれるのがベストだとは思いつつ、社会に必要とされている分野であることも大事だなと
すごくやりたい分野が需要がない時、じゃあそれでもやる。と日本でそのまま出来るのか?という不安はあります。人間への興味で医学を学んでる部分は多いので…。

吉田:人のためになるものと好きなこと、どうやって選んでいくんですか?

木田:研修医〜若手時代にやれることは少ないので、最初は教わってやる。技術を磨いてお金やポジションを得てからやりたいことをやるのはありかなと思っています。


最後に

吉田:木田さんは確固たるものを持ってたので僕が教えられることってあったのかなぁ?色々ためになる話ばっかりでした。改めて見えてきたものもありました。

こういう対話みたいなことが、医療の中でも色々な方と出来るようになるといいですよね。医師の方ってパッときた患者さんをパーソナリティも分からないまま話さなきゃいけないですよね。
みんながモチベーショングラフを持ってきてくれたら分かるんですけど。笑

木田さんはとにかく考えること自体が好き、ということは理解しました。

木田:そうですね。笑
終着点がないのがいいと思う性格なのかなと自分でも再確認することができました!

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