バゲット1本は多すぎる

08:00就寝 22:00起床。

「友人が運転する自動車が数台に分乗する若者達に煽られた。友人のマシンは銀色の砲弾の様なデザインのトレーラーヘッドで、尖った先端が赤く塗られている。若者達のピックアップも大きくて速かったが銀色の砲弾はもっと巨大で重く、進路を塞ごうと回り込んだピックアップを何事もなかった様に道路の外へ弾き飛ばした。死人が出ただろうか。ぼんやり考えていると、やがて若者達の姿は見えなくなった。

連中は無害な市民で何人か死んだ。暴走するトレーラーヘッドを警察が捜している。ラジオのニュースでは自分達が悪者扱いされている。

退役軍人のリストの中から経歴や名前を組み合わせ、架空のプロファイルを作って欲しいと友人が頼んでくる。実際は彼は現在も軍に属しているが、プロファイルは表沙汰にできない立場なのだという。諜報機関よりも良いものを作ってみせよう。

街道向こうに流れる川。侵食した渓谷から大きな音が聞こえた。誰かが鹿を撃ってるにしては周波数の低い音。音は緩慢だが周期的になり続け渓谷の上方に小さな崩落が起こきた。水が染み出し、やがて膨大な水圧が集中し大きく崩れ出し、滝が川に注いだ。造成に関連した工事らしく、岩と岩の間隙に溜まった水が抜けきるまではこのままだという。滝の周辺から鹿や猿が逃げ出している中に、生息していない筈の馬やヒヒが現れる。捨てられた動物にしては立派に見え、そこだけ露出が違って見える。あれは本当に生物なのだろうか。

事務所に戻り、特急仕事で受けたプロット案の続き。どこかの会社がやらかした穴埋め。夢の中で見た話の断片をホワイトボードやA4の紙に書き散らしている。登場人物の名前が変遷していく。2席だけEPSONの古いワークステーションが置いてある。自分もスタッフも白衣を羽織っているのは、コモディティ化後に遺物化したアナログの仕事もできる事が売りという意味」

溜め過ぎた洗濯物を片付ける。

公園や街のそこここに共用キッチンが必要ではないか。一食分を個包装した食品ラインナップの義務化。自給化を達成し、物価を安定させる為の効率化やコンサルティングの無償提供。B2Cに限りなく近づける、流通の最適化と利権の排除。今月は値上げを免れたもり蕎麦を啜りながら夢想。工業の台頭の果て、個人にまで分断された世界ではバゲット1本は多すぎる。

ブルーベリーと生ハムのサンドイッチ。もり蕎麦。

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