朝三暮四
3+4=7
4+3=7
猿使いの親方がお猿さん達にとちの実を朝に3つ夜に4つ与えようと言ったら、
お猿さん達は怒り、朝に4つ夜に3つ与えようと言ったら、お猿さん達は喜んだというお話。
「目先の利益に囚われて、結果は同じことに気づかないこと」
「うまく話して騙し欺くこと」
という意味で使われます。
中国古典「荘子」では朝三暮四を、目先の区別、差別で一喜一憂することは愚かなことである、とされています。万物は本来1つであり、価値の差はないことに気づく必要がある、と説いています。万物は斉しく同じであるという主張は「万物斉同」といって、荘子の思想の柱と言われています。
注目したいのは、目先の区別、差別を避けるのが賢明であるという主張です。私たちは、白黒、善悪、を二元論的にはっきりさせようとします。
「これは良いけど、あれはダメ」
「あの人は好きだけど、この人は嫌い」
荘子は、このように二元論的に評価するのではなく、価値判断を手放しましょうと勧めています。これは、マインドフルネスに通じますね。価値判断を手放して今あるものをありのままに受け入れるマインドフルネスの考え方に似ています。
3つなら、3つをありのままに受け取る。4つなら4つをありのままに受け取る。受け取ることができれば、そのことに感謝できるとより好ましく感じます。たとえ、1つでも2つでもいただけるものはありがたいなと感じます。
私は、長らく会社員をしていましたがその頃の年収と比べれば、今の年収は大分減りました。自分の行いに対して対価をいただけるというのは、いくらであれ本当にありがたいことだなあと感じます。
近所の農家さんのお手伝いする時もお野菜を分けていただく時には、分量がどうであれありがたく頂戴します。自分たちが育てた野菜は言うまでもなくおいしいです。
今、あることに評価をせずありのままに受け入れる。ボディスキャンでは、体の感覚に対してアプローチして、今ある体の感覚をありのままに受け入れます。心地よい感覚であろうと、不快な感覚であろうと、荘子が言うように良い悪いと評価せず、その感覚に気づき、受け入れます。もしかしたら、痛みや痒み、緊張感や違和感、こりやはりがあるかもしれませんが、そのような感覚があることに気づき、その感覚を受け入れます。
昨日、ご近所さんに聞いた話では、今の時期に菜の花の種を撒くそうです。菜の花は、寒い冬を超えて、丈夫になり春に綺麗な花を咲かせるそうです。ビニルハウスなどの温室でも育てられるそうですが、温室育ちは病気に弱く、花を咲かせるまで温室で育てないと花を咲かせないそうです。
菜の花は、今ある寒さをありのままに受け入れているのかもしれませんね。生活をしていれば、冬の寒さは言うまでもなく、理不尽なことや朝三暮四のようなことがたくさんあることと思います。それらのことを勝手に評価をして一喜一憂することなく、心穏やかに過ごして参りたいものです。
みなさまが穏やかでありますように。
みなさまがありのままに気づくことができますように。
みなさまが健やかでありますように。
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