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3番レフト佐々木くん

うれしくてうれしくて。
深い眠りから朝目が覚めると、
体の調子がいい。

9月1日から走り始めようと思って、
この2週間ヨガでゆるーく体を
ほぐしておいたのが効いてきてるのを感じた。

やんなきゃいけないことがいくつかあるけど、
全て放り出して、
ジョギング用のスニーカーに
何ヶ月ぶりかに足を通す。
計画より1日遅れだけど、十分。

いや、一日遅れで走り始められるなんて素晴らしい。
自分を褒めてやる。
ゆっくり腿を上げて、体の状態を観察する。
アキレス腱を伸ばして、呼吸を調える。
屈伸をして膝の調子を感じ取る。

よし!

ゆっくりとゆっくりと歩き始める。
近所の百日紅のピンク。
太陽が反射する隣の畑のビニールハウス。
湧き水の音。
豆腐屋の前の軽トラック。
広がる青空。
いつもの景色。

徐々にペースを上げてみる。
体が軽い。
住宅街を抜けて河原に出る。
体が喜んでいる。

膝下ぐらいの雑草。
河原の向こうを走るバスと乗用車。
遠くに聞こえるエンジンの音。
近くで聞こえる蝉の声。
赤とんぼと紋白蝶のランデブー。

気持ちいい〜。

細胞が徐々に目覚め始め、
心拍数が上がり、呼吸がリズムを刻む。
心が目の前の風景とノイズに浸っていく。

子犬の散歩をしてるおじさん。
日傘を脇に置いて河原の風景をiPadに納めようとする老夫婦。
サングラスをかけたいかついジョガー。
近所のサークル活動のおっさんたち。
会話をしながら散歩するご夫婦。
挨拶をしては、笑顔をかわし。
挨拶をしては、スルーされ、笑。

体が動く。
走れる。
うれしくてうれしくて。

左膝に違和感を感じる。
体は動き続け、心は気持ちよさをもっと味わいたい。
左膝は小さな声で語りかけてくる。
無視しないでくれ、と。

耳を傾ける。
足を止める。
立ち止まる。
屈伸をしてみる。
気持ちいいからもっと走りたい。
自分のエゴを感じ取る。
でもやめたほうがいい。

左膝とのコミュニケーションで
お散歩に切り替える。
気づけば、生協の前を通り過ぎる。
この間、目の前の景色も音も香りも
よく覚えていない。

心のエネルギーは、左膝とのコミュニケーションに使われ、
走り続けるかどうかを決めることに費やされていた。
歩き始めると、再び目の前に景色が飛び込んでくる。

丹沢の山を幾重にも覆う分厚い雲。
小学校の前を通り過ぎるバスとシルバーの乗用車。
焼肉屋の看板。
いつもは水が流れていない川に流れている水の音。
足に絡みつく雑草。

少し歩いたところで、東の太陽を仰ぎながら仁王立ち。
爽やかな秋の風が体にまとわり付いた汗を吹き流していく。
深呼吸で今に浸る。

気持ちい〜。

近くの市民野球場からウグイス嬢の声が聞こえてくる。

「3番レフト佐々木くん」

野球やってんだ。
ヒットかな。三振かな。
しばらく心のエネルギーが佐々木くんに奪われる。

どうでもいい。

佐々木くんはホームランでもフォアボールでもどうでもいい。
佐々木くん、野球を存分に楽しんでくれ。
僕は僕で今を楽しもう。

さっきよりも赤とんぼが増えてる。
というか、辺りは赤とんぼだらけになっている。

うわ〜、秋だなあ。

何十回と眺めてきた風景だけど、
幸せが感じられる素敵な風景だ。

気持ちい〜。
嬉しいなあ。

河原近くの公園でストレッチ。
黄色い雌しべと白い花びら6枚。
所狭しとギュギュッと咲いてる。
「秦野のタンス」
なに体のフォントか分からない
思い切り手書きの古びれたベンチ。

引越し屋のトラックとゴミ収集車の間をするする抜けて、
ここにも百日紅のピンク。

綺麗だなあ。

ご褒美は、近所の湧き水。
汗まみれの体に湧き水を浴び、
ありがたく体の中に注ぎ込む。
乾きが潤っていく。

少し経って、うまい!

心のエネルギーは、
ガソリンスタンドに行っても満タンにはなりません。
心のエネルギーは、ここで補給できます。

うれしくてうれしくて。
マインドフルネスありがとう。

素晴らしい朝を過ごすことができました。
やんなきゃいけないことあったけど、
放り出して良かったです。
走ったおかげで集中力が高まっています。
これからだだっと片付けよう。

心の中に佐々木くんが現れたら、ご用心。
あのウグイス嬢の声綺麗だったなあ。
おっと、心のエネルギーの無駄使い、笑。

さ、5キロマラソンにエントリーしよ!
幸せは安上がり!
ハピネス0円です(^○^)

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