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Willem Kuyken氏インタビュー(3)なぜMBCT for Lifeというプログラムを開発されたのですか?

Kuyken博士へのインタビュー3本目です。2本目はこちらより。

今回はうつの再発のために開発されたMBCT for Depressionとは別に、新たにMBCT for Lifeを開発した経緯についてお伺いしました。

(字幕を有りにすると日本語字幕でご覧いただけます)

Kuyken氏

Mark Williams、John Teasdale、Zindel Segalの3人が、うつのためのMBCT(マインドフルネス認知療法)を開発した際、彼らは、再発のプロセスについて明確な理論を持ってうつのためのMBCTを開発しました。これは、うつのメカニズム、すなわち、ネガティブな思考やちょっとしたネガティブな感情への自動的な反応を対象にしたものです。このような思考や感情は、すぐにうつへの下降スパイラルを引き起こします。

MBCT for Depressionはトランスレーショナル医療のまさに良い点に根ざした、よく作られたプログラムです。いまいったようなメカニズムは、うつの再発を促進すると考えられ、MBCTがそのメカニズムに気づく方法を教えるのです。そして、そこから距離を取り、再びうつに陥ることのないようにします。私はこのことについて研究し、教えて、考えてきました。これは、うつに対してMBCT for Depressionは効果があり、受け入れられる、ということを示した試験を通じてのことでした。

世界を見渡すと、MBCTは、医療のガイドラインに取り入れられ、より身近なものになっていっています。しかし、それとは別に私が発見したことを一つお話します。私の担当したある患者さんの話です。

彼は、私がおこなった臨床試験の対象者の一人でした。Dicohenという人で、MBCT for Depressionのコースに参加し、その結果、効果がでて薬が不要になるほどでした。そして、日常生活に戻っていったのですが、その後、骨髄がんを患いました。その後も私と連絡を取り合っていました。コース後の再会セッションに来て、話をしてくれたことによると、痛みやとても深刻な命を脅かす病気に対処することにおいて、MBCT for Depressionで学んだことが、とても彼にとって役に立ったということでした。

彼はその最期まで私と連絡を取り合っていました。骨髄移植も行い、最終的にはその病のために亡くなりました。しかし、そのことが私に教えてくれたのは、MBCT for Depressionというコースを超えて、人々は、このプログラムで学んだ基礎的な力を人生の他の場面でも活用していたということです。注意を向ける力、集中する力、自らの体験に際し視点を変える力といったことです。自動反応ではなく、対応する力、これはうつ思考にだけ役に立つものではなく、人生のすべての領域で助けになるものです。それで、私達は、こう考え始めました。このような基礎的な力を何か活用することができないだろか。注意、視野、自動反応ではなく上手に対応する、といった力を高めるカリキュラムを開発し、うつ対策だけでなく、より広い範囲の人たちの基礎的な力を養うことに役立てるということです。

そして、そのカリキュラムは、実際に、それが可能な内容になりました。いわば、うつの危険がある人だけでなく、マインドフルネスのスキルが役に立つすべての人々にとってのプログラムになったのです。その人たちは、これを通じて、人生をより楽しみ、幸福を感じ、人生をよりよく生きていくことができます。

4へ続く

MBCT for Life(3月22日開講)

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