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高学歴の女は結婚に不利なのか。

先日大学の授業で『#Metoo運動』や『ジェンダーギャップ』について議論することがあり、とある出来事を思い出した。

知人と話している時のこと。私が大学院へ進学したと伝えると「高学歴だと結婚に不利だ」との主旨のことを言われた。

その時はいつものノリかと笑って受け流したが、後になってモヤッとした気持ちが心に残った。

私は学歴が欲しくて勉強しているわけじゃなく、自分がやりたいからやっている。周りが働いているように一つの選択肢として。自分の情熱を持ってやっていることが、結婚どうこうに関係するなんて、おかしいんじゃないか...

私はその人を責める気はひとつもない。その人のせいだとも思わない。そう思わせる社会があるだけだ。

私だって昔は多かれ少なかれそう思っていたし、もし今と違う環境に居たら、おかしいとすら思わないかもしれない。

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ここで東京大学名誉教授、上野千鶴子さんによる言葉を引用したい。これは2019年、同大学の入学式の祝辞として読まれたものであり、当時も大きな話題を呼んだ。

なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか。なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです。
女子は子どものときから「かわいい」ことを期待されます。ところで「かわいい」とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです。

これには同意しかない。

自身の経験では、昔からここで言う『かわいい子』=『モテる子』だった。ある時、男友達が彼女の好きなところを「守ってあげたくなるところ」だと言っていた。

私は思わず「彼女はどこかのプリンセスか何か?」とつっこんでしまった...『女だから守ってもらわなくちゃいけない』なんて願い下げだと心底思った。彼はきっと、そんな彼女を守っている”強い自分”に酔いしれていたんだと思う。

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こうした女性観について、授業である子がデンマーク人の先生に質問した。

日本では"弱い"女性が男性に好まれる傾向にある。デンマークの女性は"強い"イメージがあるけど、デンマークの男性はどう思っているのか?

先生はこう答えた。

もちろん一概には言えないが個人的な経験としては、”強い女性”だから不利なんてことはない。たとえ男性よりも学歴があったり、お金を稼いでいても関係がない。むしろ良いことだと捉えられる。
女性同士でも、男性同士でも、異性間でも、パートナーとして好まれるのは、賢く聡明な人。共に議論ができる人。
恋人であり、夫婦であり、そして友人でもあれる人。

ー「共に議論できる人」「友人でもあれる人」

ここにデンマークの価値観が現れているように思った。

たとえカップルであっても、何でも話せる友人のように、お互いを「対等な関係」として捉えている。

だから、どちらかがどちらかを「守ってあげなくちゃならない」という発想にはならないのだと思う。

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普段、日本とデンマークを比較する際は「どちらが良い悪いではない」と再三言ってきた。

でもこれだけは...「高学歴だから結婚に不利」なんて、そう思わせる社会は間違っていると思う。

だからこそ、今度は見て見ぬふりをせず、笑って受け流しもせず。「それっておかしくない?」と、勇気を持って声をあげられる自分でありたい。

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参考文献:平成31年度東京大学学部入学式祝辞 (https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html)

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