心のろうそくの火が消えた日
人生は不平等だ。
2021年。父の会社が倒産して、父と母が離婚して、一生住むはずだった実家を失った。
仕事は山場の11月後半。突然の母からの電話で知らされた。
それでも毎日仕事は容赦なく襲ってきて、あっという間に年末。
やっと仕事が休みになっても実家に帰って、部屋の片付けに追われる年末年始。空っぽになりつつある実家は、一人暮らしから帰ってきた安心感はどこにもなく、変わり果てた違う家のようだった。
お別れをする時間もなく、また仕事が始まって、たくさん帰るつもりだったのに、全然帰れなくて、そのまま実家を退去。
2月。やっと仕事がひと段落した日。
心の中に灯っているろうそくの火が静かにふっと消えたのがわかった。
どうしようもない暗さに胸が覆われて、不安でいっぱいになって、母親に電話しても泣いてしまってスッキリしない。誰に話しても拭えない大きな不安。
得体の知れない感情に襲われて、1人で住んでいる家の中で部屋を真っ暗にして、うずくまってずっと泣いた。
このまま沈んでいなくなりたいと思った。
どうしてこんなに辛いのに、また明日がやってきて、何もなかった顔をして、当たり前のように仕事をしなければならないのか。
明日が来るのが絶望しかなくて、死にたいとは思わなくても、生きていることをやめたいと思った。お願いだから時間が止まって欲しかった。
時間が止まらないと、この心の沈みはどんどん悪化するのがわかった。
自分が自分であることが嫌になって、自分から自分を取り除きたいという恐ろしい感覚に襲われた。
今考えてもそれがどんな感覚か思い出せないほど、おかしい状態だったのだと思う。
どうして生きていかなきゃいけないのか、なぜこんなに辛いのに生きていくことをやめることができないのか。
考えても考えてもわからないのに、何も考えられなくなって、
誰にも会いたくない外にも出たくないこのまま暗闇の中で消えてしまいたい。初めてそんな気持ちになった。
恋人にも家族にも友達にも、嫌いな自分で、会いたくない。どうせ大切な人を傷つけるくらいなら、いっそこのままずっと会いたくない。
あのどん底に落ちた気持ち。忘れもしない。
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