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discipline(規律)について


※FBでの書き込み(2012年11月25日)をそのまま転載してます.
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Jリーグが発足した当時,discipline(規律)という言葉が流行りました(たぶん広島のバクスター監督が口癖のように使うところから流行りだしたのかな?).サッカーはチームで戦うスポーツで,規律を守る,戦術を守るのが重要だという感じでしょうか.
バレーを競技としてちゃんと見るようになって率直に思ったことは,「やたらと約束事の多いスポーツやなーーー」ということです.ルール上の約束事は,まあ,あんなものだと思うのですが,キッチリと守らないといけないプレー上の約束事が多く,これは初心者大変やなーーーと感じました.
サッカーは足でやるスポーツなので不確定要素が多く,バレーに比べれば大雑把な戦術を用いているような気がします.もちろん,現代サッカーではかなり規律を守らねばならんのですが,不確定要素を含めた約束事だと思います.約束事をキッチリと守るというよりも,状況を判断してチームとして適切に対応する感じでしょうか.
個人的には,


規律を守る
keep discipline


ではなく,

規律を創造する
create discipline


なのだと思っています.ドゥンガさんが磐田に来た当初,
「野球では、ボールを打った人間は必ず一塁側に走る。なのに、なぜ日本人はサッカーになると、決まりごとを持とうとしないのか」
などと言っていましたが,ドゥンガさんは,規律は守るものだという感覚だったのだと思います.ドゥンガ監督のセレソンの失敗はそこにあったと私は考えています.
バルサのようなサッカーは,選手がやらされてできることではありません.あの攻撃と守備の切り替えの速さ,チーム全体の判断の速さは常軌を逸していると言っていいです.監督の指示待ちであんなことできるはずがありません.それに,あんな戦術,やらされてやってたら,ストレスで死んでしまいます(^^) あれを実践するには,半端でない技術も必要ですし,まさに create discipline だと思うのです.
南アフリカWカップのデンマーク戦に勝利した直後の電話インタビューでのオシムさんの一言:
“日本人たちはついに大事業に取り組めるところまで成熟した。もはや、不成功を恐れる必要がなくなったからだ。オレの(監督)時代なら、選手はGKまで抜いたところで、シュートしてもいいかどうか、ベンチの方を見たことだろう。いまや(日本は)ホンダと勇気を手にしている”
オシムさんはチームの規律やバランスを重要視する監督だったと思いますが,単に監督の命令を守ることを求めていたわけではないのがわかりますよね(^^
日本のサッカーは,ようやく,そのへんの領域に手がかかってきたぐらいでしょうか.まあ,まだまだですが,「日本のサッカー」らしきものが,おぼろげながら形をなしてきている気はします.
本当に強いチームとは...
「自ら考え,自ら行動し,自ら責任を持つ」ような独立した個人が,現在の状況を把握し,まわりの人間と状況に応じてコミュニケーションをとり,問題解決のために規律を生み出せるようなチーム
だと考えています.試合本番になって,なんでもかんでも監督の指示待ちしているチームは勝てませんよね...状況判断に必要な情報をベンチから得るのはあたりまえとして,判断,行動するのは,あくまで選手個人のはずです.
ブラジルのバレーなどを見ていると,レセプションやディグが少々乱れようとも,各選手が状況を把握し,適切なポジショニングを行い,強力な攻撃を実践する.どんな外乱にも負けずに規律が作り出されている(^^
強いチームとはそういうものなんだな―――と感じずにはいられません.ただ,ブラジルの真似をしてもしょうがないので,日本は日本の規律を生み出さないといかんのかな―――などとも感じて見ていたりはします.
バレーで中高のチームを見ていると,「監督,コーチの決めた約束事を守るだけで精いっぱい」ということを感じることが少なくないです.育成年代から,このへんを選手に認識させないと,トップチームのレベルは上がらないのではないかな...と感じたりしております.
まあ,鶴岡高専も頭をつかえないのが多いのですが...(^^;;
彼らが判断できる訓練をしようと,いろいろ工夫して,頑張ってはいるのですが,なかなか難しい...

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