輝きはもどらない。私が今、死んでも。

題名は荒井由実の『翳りゆく部屋』です。
椎名林檎とエレカシも歌ってるね。

感情がシャープさを持つ時は翳る事や輝くことが無くなる事は切なく寂しく辛い。

時間が経ってしまえば気持ちは風化するので落ち込み続ける事はないだろう。

人は立ち直れるようになっている。


ただそれでも振り返った時に忘れられない輪郭を保った記憶や思いは残る事がある。

輝きは戻らない。戻したくても戻したくなくても。

ただ輝いていた事実がぼんやりとおぼろげに残り、
その中のワンシーンが輪郭を持って残るのだ。

そのシャープさを保ったまま残る記憶があれは私は生きていける。

そういう記憶を増やしたいし、人に残したい。


何歳だったかも曖昧で、別れの原因なんてまったく覚えてなくて、
でも、あの日、あなたはグリーンのサテンのロングスカートに丈の短いGジャンで私にいままでありがとうと言った。

その時の表情や空気感なんかももうおぼろげだけど、
駅に向かうあなたの後ろ姿のサテンのロングスカートが輪郭を持って覚えている。

記憶力は全然良くないけど、瞬間的な切り取った記憶は案外、残ってる。

人とちゃんと向き合ってる証拠だと思う。

私の誇りの1つである。


今、沢山の輝きを見せてくれる子が居て、
一体どんな記憶が残るのだろう。

それがまた楽しみでならない。

喪失感すら愛しく思える様になる時間は偉大である。

常識や多数派の意見などどうでもいい私は困らせていないかだけは心配だけど、

ワガママに付き合わせてしまっている。


朧月はなぜ美しいか。

おぼろだからなのだ。

月は輪郭を持つのに輪郭がぼやけて見える。

光が広く広がり切なく暖かく。

日本の文化特有だろうが、この感覚が割と好きだ。

輝きをぼかす事で愛しい気持ちになることだってあるのだ。

確かな事を求めるし、求めるべきだが、

おぼろげな感情を否定してはいけない。


恍惚のブルースでは

女の命は 恋だから
恋におぼれて流されて
死ぬほどたのしい夢をみた
あとはおぼろ あとはおぼろ

なんて歌われている。

今だと男女がどうとかこうとか言われそうだが、

私は女脳と恋愛脳を持ち合わせてる自分でも困る面倒くさい精神構造なので、あーいいなぁ。とこの歌を聴いた。

死ぬほど楽しい夢は正に輝きだ。

もうその夢は過去の事。

輝きは死んでも戻らない。

しかし、死ぬほど楽しい夢を見た事を抱きしめ続けられる愛しさがあるのだ。

あとはおぼろ。その他の事はおぼろげでもピントがあった楽しい夢があれば生きていけるのだ。


愚かと言う人も居るだろうが私はそういう人が好きだ。

そういう人になろうとしつつもある。


マリリン・モンローも壮絶な人生で、多分、性格は恐ろしく面倒くさい人だったと思うが自分を背くことなく生きたと思う。

“All a girl really wants is for one guy to prove to her that they are not all the same.”

女の子が本当に求めているのは、男性はみんな同じじゃないと証明してくれる一人の男性だけなの。

マリリン・モンローの名言集の中で残ってる言葉の一つ。

私はバイセクシュアルなので、男と女にぶった切ることはできないが、

自分が好きじゃなくても、
自分を好いてくれている人、その上で尊重してくれる人が一人、

たった一人いれば人は死なない。

ビルから飛んだあの子だってたった一人いれば変わっただろう。


ただ、その一人は大概、パートナーにはならない。

幸せとは不条理なものだ。

まぁ世の中には殴る男や怒鳴る男が多いのも問題だけどさ。


でもなんだろう。

マイノリティな価値観だが、『彼が私の事を殴る時の顔が一番好きだった』なんて話も割と聞く。

輝きはそれぞれだし、死んだらいけないけどね。


恵まれ過ぎている事が問題なのかもしれない。

過酷な状況下だと、相互に助け合う文化ができるし、
人と比べる余裕もない。

自己肯定感の低下は、時間の余裕と豊富な価値観、そして馬鹿な世論だろう。


大切にしてる思いを人に喋りたくないのはそういう所だ。

他人に感情を測られる事ほど不快な事はない。


輝く事が大事だ。

過去になっても取り戻せなくてもおぼろになっても

輝きは忘れない。


思い出せなくても忘れない記憶。

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