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今度は高校野球かよ…

久しぶりにちょっとすごいものを見た。
いや、厳密に言うと瞬間は見ていないのだけれど、え?と思ったらすべてがひっくり返って終わっていた。

夏の全国高校野球大会、2日目第二試合、横浜VS広島新庄。
在宅勤務のランチタイム、テレビをつけたらやっていて、横浜が0−1で負けている状態で8回表裏の攻防あたりから見た。

私は神奈川県出身なのでもちろん横浜びいきで見ていたのだが、8回表裏の攻防を見る限り、1点差ではあるものの広島新庄の守りが堅く、押され気味なのは感じていた。案の定9回表に広島新庄が1点を追加して0−2となる。2点差は追いついて逆転できないほどの点差ではないが、9回表の追加点はけっこう重い。裏の攻撃をするチームの勢いを削ぐには十分であったりはする。

まあでも高校野球は長年見てきているので、最後まで何があるかわからないとも思っていた。9回裏、横浜の先頭打者がヒットで塁に出た時点で、「お? 食らいつきますな」と思った。さらに次打者もヒットを打ち、無死1、3塁となる。ランナーが3塁まで行くと、1点ぐらいは返せそうな気になる。ここで代打を出すがあえなく三振、1アウト1、3塁。1アウトになると1点は返したいよね、と思う。1アウト1、3塁だとダブルプレーで終わってしまう可能性があるからだ。次打者はセカンドフライアウト、ダブルプレーは免れたものの、2アウト1、3塁は万事休すだ。

この状況で横浜に勝ち目があるとしたら、ホームランしかない。一発で逆転できる。2アウト1、3塁からヒットを重ねて2点、3点と取って同点または逆転するのは、可能性はゼロではないが至難の業である。

BS朝日で解説していた聖光学院の監督が「もう代打いないんでしょうかね、彼に賭けるしかないんでしょうねぇ…」という期待薄な、けっこう失礼なことを言っていたのだが、次打者は小柄でとても長打を打つ力があるようには見えなかったのは確かである。

そしてその時私は一瞬テレビ画面から目を離したのだ。カーンと小気味良い音がして画面に目を戻したら、打球がグングン伸びて無観客のレフトスタンドに吸い込まれていくところだった。
まさかの逆転3ランホームラン!
こんなことが本当に起きるのだ。それが野球というスポーツなのだ。勝負は最後までわからない。
勝った横浜も、負けた広島新庄も、たぶん何が起きたかわからないまま、少し前までの勝者と敗者が入れ替わった状態でホームベース前に整列して試合終了のコールを聞いたのだろう。

そのほんの一瞬ですべてをひっくり返したホームランを打ったのは、緒方くんという1年生遊撃手だった。試合後のインタビューで「3年生と少しでも長く野球がやりたいと思って、思い切り振りました!」と言っていた。巡り合わせとしか言いようがないが、あの打席、いろいろ背負った3年生が立っていたらこういう結末にはならなかったかもしれない。スタートラインに立ったばかりの1年生だったからこそ、本当に思い切ってバットが振れたのかもしれない。

逆転サヨナラホームランを1年生が打ったのは史上初だそうだ。緒方くん、歴史に名前を刻んだわけだね。なんかテレビ越しとはいえ、すごい場面に立ち会った気がする。

高校野球、最後まで何があるかわからないこういう場面に出くわすことは多いけど、改めてコワいとつくづく思った。だから面白いとも言えるのだけれど。

おかげで久しぶりに横浜高校の校歌を歌ってしまったよ。
神奈川県出身者としては、横浜高校にさらに勝ち進んでいただき、またともに校歌を歌いたいと願うばかりである。

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