見出し画像

蘇州の思い出②


夫の海外赴任で、2015年秋~2016年夏まで江蘇省蘇州市工業園区で暮らしていた思い出をつづっています。(トップの写真は、よく買い物に出かけていたデパート『新光天地』が見える風景)

 私の住んでいた街にはほとんど日本人がいなかったので、夫が仕事に行っている平日はいつも一人で過ごしていた。はじめは乗り物に一人で乗れず、歩いて買い物に出かけていたが、しばらくするとICカードを使えるようになって、バスや地下鉄で移動できるようになった。
 バスの運賃は、ほとんど何処まで乗っても一律で、日本円にして10円とか20円とかだったと思う。目的を持たず、知らない行き先のバスに乗って出かけたこともあった。スマートフォンさえあれば帰れなくなることもなく、暮らしながらにして、毎日がちょっとした旅行気分。なんといっても、中国語を話せないのがスリリングで楽しかった。
 バスの運転は非常に荒く、暴走気味。乗り込んで階段を上っている最中に発車したりする。そして、バスでも地下鉄でも中国では高齢者に席を譲るのは当然のこととなっていて、私は中国語が話せないので、お年寄りがたくさん乗ってくると緊張した。

 あらゆる地名や駅名を忘れつつあるのだが、工業園区には「星」という漢字のついた地名が多く、「星」というのは「シンガポール」に由来するらしいと夫から聞いた。現在、シンガポールは中国語で「新加坡」と統一されているが、それまでは「新」を「星」と書いていたこともあるらしい。
 その「星」がつく駅のひとつ「星海広場」にも一人で出かけて、輸入品が揃うスーパーをうろうろした。ロータスビスケットの類似品(中国産)が売られていて、それが本家ロータスより美味しかったのは、ささやかな発見だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?