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映画”真珠の耳飾りの少女”とケンウッドハウスのフェルメール絵画

もちろん名前は知っているけれど、正直よく知らないフェルメール。

ロンドンのナショナルギャラリーでも見たはずなのだが、それより記憶に残っているのはケンウッドハウスの「ギターを弾く女」。

フィクション映画”真珠の耳飾りの少女”を見たのでふと思い出した。

何も失わない!パーフェクト不倫必勝法

映画の知識が本当にない私の率直な感想。

ちょっと待って!フェルメールこんなギラギラしたおじさんでいいの?!

あの写実的で柔らかい雰囲気の絵から想像もつかない、アグレッシブおじさん。

・ターゲットは社会的地位が低い若い女
・尤もらしい理由(仕事の一環だよ?)で接触&特別扱いで好意を持たせる
・義母は自分の味方につけておく
・奥さんにも適度な愛情は示しておく
・窮地に立たされたら見捨てるのは不倫相手
・不倫相手が暴走しないよう最後は金銭的解決(会うとこじれそうなので他人に託す)

完璧すぎる!

よくあるストーリーかもしれないが、こんな展開とは思わず見始めたため驚きを隠せない。

最初は大嫌いだった、性格悪すぎ金持ちファミリーも、

「妊娠中に自宅で不倫されたら、そりゃあね。」
「お父さんが不倫しててお母さんが辛そうなら、そりゃあね。」

となってしまうのは、私が既婚者だからだろうか。

最後の贈り物が「愛の証拠」ではなく手切れ金に見えてしまうのは、映画鑑賞レベルが低すぎるからだろうか。

一方で、こんな人だからこそ天才的名画が生み出せた!というメッセージということで納得できる気もした。

映画の世界での前提だが、

もしフェルメールが、早く仕上げて売れという圧力に負けて、クオリティを下げて絵を量産する人だったら?

家計が苦しいから、高い顔料は諦めて他の色で描こうとする人だったら?

妻が可哀想だし、若い子を巻き込むのはやめよう、と考える人だったら?

そうしたら、名画は生まれなかった、と。

制約があるなかで最高のものを作る、周りのみんなが幸せになれる形でやり遂げる、という考えも悪いことではなく、むしろ課題解決として歓迎されると思うが、天才とは言えない。

経済的そして人道的な制約をすべて振り切って、とにかくこうしたいんだ!周りがどうなっても知らん!という人こそが天才アーティスト。

というメッセージであり、フェルメール流パーフェクト不倫指南書ではない、という理解で落ち着いた。

それにしても、絵画のように切り取られた美しい映像も多い中で、

フェルメール絵画の象徴である窓の光を浴びつつ、「何で私じゃないの!」と泣き叫ぶ奥さんの顔。

それまでどうにかファッションで美しさを保っていたのに、日光にさらされてしまった老化。

これが印象的だったのは、私自身が肌の老化に悩んでいるからでしょう。

それにしても、若かりしスカーレット・ヨハンソンさんは美しすぎる。華憐という言葉そのもの。かっこいい草薙素子とのギャップよ。

誘拐から帰還したフェルメール絵画

ロンドン郊外にあるケンウッドハウス。

自然に囲まれた貴族の邸宅、その中で絵画が公開されているという、1か所行くだけでめちゃくちゃ充実できる場所。

一番有名なのはピンク×水色の図書室。

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こんな高貴なパステルカラーの内装は初めて見た。

そして、フェルメールの「ギターを弾く女」である。

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ケンウッドハウスのボランティアガイドの方が各所に居て、すかさず説明してくれる。

フェルメールの晩年の作品とのこと。

ちなみに、有名な「恋文」でもモデルはギターを持っている。映画でもアトリエにギターが置いてあるシーンがあった。

そして、この「ギターを弾く女」が誘拐されてしまったとのこと。

絵画の誘拐は、キャンバスに傷をつけられてしまうこともあるそうだが、奇跡的に無事に帰還したそう。

テロリスト解放の要求に対する交渉も決裂したのち

なんとロンドンのシティにある教会にコソッと返されたらしい。

それにしてもイギリスでのお出かけは、天気にかかっていると言ってもいいと思う。この日は本当に天気が良くて最高の思い出になった。

終始見ているだけで体が冷え切るようなオランダの冬の街が舞台だった”真珠の耳飾りの少女”と対象的である。

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