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断捨離本5「Think Simple 最強のシンプル思考」

本日の断捨離本はケン・シーガルさんの「Think Simple 最強のシンプル思考」。

ケン・シーガルさんは、スティーブ・ジョブズと12年間を共にした伝説的クリエイティブ・ディレクター。世界で最高の広告ともいわれる、AppleのThink Differentキャンペーンを主導した人物。

本日紹介する本と似たタイトルの前著「Think Simple (英題 Insanely Simple)」を大学時代に読んだときは、衝撃を受けた。今でも自分の価値観の礎になっている。興味がある方は、是非。

■本書のメッセージ

シンプルであることが、最大の武器になる。

「シンプル」とは「単純」とは異なる。「シンプル」とは、本質が複雑な物だったとしても、不要な要素が極限まで削ぎ落とされ、エッセンスのみに凝縮された状態。一方「単純」とは、ただ簡単になった状態だ。

例えば、現在、AppleはiPad Proのことを、以下のように表現している。

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iPad Proには、現代最高のテクノロジーが詰まっている。Appleはそれを、「1枚の魔法のガラス」という極限の”シンプルさ”で表現している。

一方、(若干製品の種類が異なるが)MicrosoftのSurface Pro 7の売り文句を見てみる。

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Microsoftは、Surface Proのことを「何でもこなせる驚きのパフォーマンス」と表現している。もちろん、Surface ProがiPad Proに性能で大きく劣っているわけではないだろう。ただ、ぱっと見て受ける印象は、Surface Proのコピーは、理解を促進することを目的とした”単純”な表現になっているように感じる。

■シンプルのメリット

シンプルのメリットは、「価値観がブレない」ことだ。

例えば、スターバックスは「Third Place」という価値観を持っている。文字通り、「家とオフィスの間にある第三の場所」を提供するコーヒーチェーンだ。そこではスタッフはただの従業員ではなく、”パートナー”と呼ばれ、接客マニュアルなしで、お客さんがどうすれば「Third Place」を体感してもらえるかをそれぞれが考えて、行動することを推奨されている。

もし、スターバックスの価値観が「Third Place」ではなく、「お客様に快適な空間を提供するコーヒーチェーンになる」などのような単純なものだったら、どうなるだろう。平凡で洗練されていないメッセージは、世界中に存在する"パートナー”の心を動かせなかっただろう。きっと国や地域によって、いろんな解釈が生まれ、スターバックスが持つどこに行っても親しみやすい接客態度や空間は生まれなかったに違いない。

スターバックスの創業者ハワード・シュワルツは、価値観を「Third Place」という極限までシンプルに定義したことで、どこにいっても世界最高の接客が提供できる、無敵のコーヒーチェーンを生み出すことができたのだ。

■シンプルであるためのコツ

シンプルを目指すことは、見た目とは裏腹に難しい。本書では、そのためのコツがいくつか述べられている。

例えば、もし何かをシンプルに伝えたいなら、それが「クリエイティブブリーフ1枚」に収まるぐらい、情報を削ぎ落とすことが、その1つだ。

例えば、スティーブ・ジョブズは、まだ世の中にスマートフォンが存在していない時代に、初めてiPhoneを世に説明するときに、「iPod + Phone + Internet = iPhone」という非常にシンプルなスライド1枚を使った。

それをみた観衆からは、見た瞬間に歓声があがった。この1行程度で収まる文章に、iPhoneの全てが詰まっていたから、観衆の心を一瞬で動かせたからだ。

このように「1枚」や「1行」にメッセージを収めるには、どうすればいいのか?を考えることが、シンプルを目指すコツだ。

繰り返すように、ただ単純化すればいいのではない。あくまで、エッセンスを凝縮することが大事だ。だから、考えたメッセージが、「Tシャツに書いてあっても良いぐらいに印象的か?」を自問してみるのも良いだろう。

■まとめ

スティーブ・ジョブズが大事にした考え方に、「Brand Bank(信頼銀行)」という概念がある。人々がある製品やサービスに対して、良い経験を積むたびに、この「Brand Bank」に「信頼残高」が積み重なっていく。逆に、悪い経験をするたびに、「信頼残高」は減少していく。

「シンプル」であることで、価値観がブレなくなり、相手の期待を裏切らなくなる。つまり、「シンプル」であることは、この「Brand Bank」に「信頼残高」を積み重ねることなのだ。

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