「歴史」から学ぶクリエイティブ
こんにちは!
転職前の有給消化を満喫しまくっている、みなつきです。46連休が最高すぎて、働けない体になりそう。。
さて、今日はその有給消化を利用して行ってきた、D&AD展@汐留カレッタが、なかなか学び深かったので、ご紹介します。
D&AD(Design & Art Direction) は、1962年にイギリスで創設された優れた「デザイン」と「広告」を称える目的で、受賞者に鉛筆の表彰物を贈るユニークかつ広告業界で最も権威ある賞です。
今回の展示では、「江戸時代から始まった日本の広告の歴史」と「2020年D&AD受賞作品」を見ることができました。今回は、前半部分をご紹介。
(後半のD&AD受賞作品については、後編で書こうと思ってます!)
■江戸時代に生まれた広告の概念
日本における広告の始まりは、「江戸時代」。
江戸幕府が安定した社会をもたらしたことで、物を売るということが市井の人たちにまで広まり、「物をいかに売れるか?」を追求する必要が出てきたからです。
この時代に生まれた広告手法は、現代でも使われているものもあります。
例えば、呉服の三井越後屋が日本で初めて「引札」というチラシを発行したり、
娯楽として親しまれていた歌舞伎の中で実在の商品が登場し、今でいう企業タイアップ広告が生まれたりしました。
現代の広告概念が、江戸時代に開発されていたことは、興味深かったです。優れた概念は、時代が変わっても通用するということなのでしょう。
■江戸時代の天才クリエイターから学べること
そんな広告勃興期には、5人の天才クリエイターがいました。彼らに関する面白いコンテンツが展示されていたので、ご紹介します。
1. 平賀源内
「自分でも何屋かわからなくなるほど、徹底して行動」
エレキテルなど、西洋の知識を取り入れて多種多様な開発を行った、東洋のガリレオ・ガリレイ。友人の鰻屋が夏に鰻が売れずに困っていたため、「丑」の日に「う」がつく食べ物を食べることが流行っていたことに着目し、「土曜丑の日」として鰻を売り出したところ、大繁盛。初めて、コピーライティングの概念を開発した。
2.山東京伝
「自分の得意分野を、横展開」
蔦屋重三郎という重鎮プロデューサーと組んで、黄表紙本というエロ本を書いて、政府にキレられ手鎖50日の刑を受ける。それに懲りて、紙タバコ屋をはじめる。自分の得意だった絵画を利用して、パッケージデザインやタバコの包み紙を初めて広告としてデザインしたところ、馬鹿受けして、ぼろ儲けした。
3.十返舎一九
「自分の経験と時流を、掛け合わせ」
蔦屋重三郎のところに居候しながら人生経験を積み、東海道中膝栗毛を出版。旅が市民の間でも流行したことで、これが大ヒット。初めてシリーズ化された。山東京伝、曲亭馬琴、式亭三馬の伝説の戯作者と並び称されるほど出世し、文章で生計を立てた初めての職業作家となった。
4.式亭三馬
「シンプルで強いコピーで、人を動かす」
滑稽本の戯作家でありながら、薬局を始め、オリジナルの化粧水を売るために、「江戸の水」というキャッチーなネーミングを考案し、当時流行していた景物という商品のおまけとして自分の書いた作品をつけて売ったところ、大ヒットさせた。
5.蔦屋重三郎
「市場がないなら、自分で創出」
吉原に生まれ、自分の周りに個性的な人たちを巻き込んで、斬新な企画をつくり、自分の書店のお抱えの作家を売るために、黄表紙本や洒落本などの新ジャンルを創出。喜多川歌麿や歌川広重などの稀代のクリエイターを発掘し、大ヒットさせた。
彼らから学びたいことは、
1、転んでもただでは起きない「レジリエンス」
2、他の人と違う視点で物事を見る「はみだし力」
3、自分でどんどん前に進めていく「行動力」
だと感じました。
また、いま美大で学んでいますが、デザインスキルをもたない自分にとっては、この中でいうと、蔦屋重三郎のプロデューサー的なポジションを目指していくことが、良いのかなと思いました。
■西洋化されていく明治〜近代の広告
明治以降は鎖国が解除され、西洋文化が日本に流れ込み、その結果、江戸時代以上に、多種多様な広告手法が考案されました。
また明治以降、広告手法だけでなく、西洋的な写実的な表現がみられるようになっています。三越伊勢丹の広告デザイナー杉浦非水の代表的広告「春の新柄陳列会」は、和洋折衷を極限まで昇華させ、大好評だったそうです。
江戸時代以降の展示を見ると、広告は一種のアートなのではと、改めて感じました。
先日投稿した以下記事でも書きましたが、
「広告」=世界観を作り、感情を揺さぶるもの
「販促」=認知を高め、物を売るもの
というイメージでしょうか。
個人的に今まで、広告は"中身のない商品を誇張して伝えるもの"だと感じていたのですが、最近ちゃんと広告について考えるようになって、自分の研究テーマである
「なぜ人の心が動くのか?」
という問いを考える上で、広告のアプローチはすごく参考になる気がしています。
一方で、原野さんのクリエイティブ入門でも紹介されていましたが、マーク・ザッカーバーグは以下のようにも述べています。
「企業が広告費を払うのは、つまらないものを作ったことに対する罰金である」
どうも広告という言葉の定義が、色々な解釈を含みすぎてると思われます。
ということで、今日はここまで。
後編で、D&AD賞をみて学んだことを書いていきたいと思います!
では!
みなつき
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