見出し画像

【無料】基礎から分かる水産用語<130> 潮目とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


潮目とは

 異なる2つの水塊の境界部のこと。境界部を境に水温や塩分が急激に変化する。水塊とは、水温や塩分の特性が比較的均質な海水の広がりのこと。国内で最も有名な潮目は、太平洋側を流れる暖流・黒潮(日本海流)と寒流・親潮(千島海流)がぶつかる三陸沖で、世界三大漁場の一つとされている。

 水温が違う水塊が合流することで、海底から栄養分が運ばれてプランクトンが増えやすく、それを餌にするカツオやマイワシ、サンマ、マサバなどが集まることで、好漁場が形成されることが多い。宮城県石巻市の産業部水産課によると、同市沖の三陸金華山沖漁場には「南方系の魚や北方系の魚が満遍なく来るため、魚種が豊富だ」という。同課は「夏の時期はマイワシが多く獲れる」と話す。

 日本海側を流れる暖水(対馬海流)と冷水の交差地点にも潮目があるが、黒潮と親潮が隣接する海域のような顕著な境界は形成されない。一方で、暖水の中であっても渦との境界で潮目が形成される。

 この他、潮目は潮の満ち引きによる潮流や河川の真水が海に流れ込んだ場所、発電所などから出る暖かい水と海水の境目にも見られる。潮目は泡沫(ほうまつ)、流れ藻、木片などが集積していたり、鏡のような海面にさざ波が立ったりするため、肉眼でも識別ができる。

みなと新聞本紙2023年7月11日付の記事を掲載