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【無料】基礎から分かる水産用語<76> だて巻きとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

だて巻きとは

 卵に魚のすり身、砂糖などを混ぜたものを焼いた後、渦巻きのように巻いた甘いねり製品。正月のおせち料理の定番商材として親しまれている。

 すり身の魚種は主にグチやハモ、スケソウダラなどが使われる。家庭で作る場合はすり身の代わりに、入手しやすいはんぺんを使うこともある。大きく2つのタイプがあり、水分が多くジューシーなものと、水分が少なめでカステラのような食感のものに分かれる。

 関東と関西では味付けに若干の違いがあり、関東の方が味付けを甘くする傾向がある。関西では卵とすり身を梅の花の形をした型に入れて焼き上げた「梅焼き」や「伊達巻寿司」などがある。名古屋市場の卸によると名古屋地区では近年、年末商材としてだて巻きの売り上げが伸びているという。

 定番品の他にも、中にチョコレートなどを入れたスイーツ色の強い商品や卵不使用でアレルギーに対応した商品など各メーカーが工夫を凝らしてだて巻き消費の裾野を広げている。

 「伊達巻」の名称の由来は諸説ある。和装に使うだて巻きと形が似ていることから名が付いた説や、戦国武将・伊達政宗の好物だったすり身と卵を使った「平玉子焼」を「伊達焼」と呼んだことに由来する説など。後者の説から、伊達政宗の命日の5月24日が「伊達巻の日」という記念日に制定されている。

みなと新聞本紙2022年12月16日付の記事を掲載