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【無料】基礎から分かる水産用語<54> モーダルシフトとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

モーダルシフトとは

 貨物輸送の手段をトラックなどの自動車から鉄道や船舶へと切り替えること。一度に大量の荷物を運ぶことで、二酸化炭素(CO2)の排出量を減らし、環境負荷を低減する。近年は人手不足が深刻化する流通業の省力化や働き方改革の一環としても注目を集める。

 国交省の2020年度試算によると、1トンの荷物を1キロメートル運ぶ場合、排出されるCO2の量はトラックが216グラムであるのに対し、鉄道は10分の1の21グラム、船舶は5分の1の43グラムという。国内の運輸部門におけるCO2排出量は自動車が約88%に及ぶため、モーダルシフトの推進は大きな効果が期待される。

 国内外に航路を展開するSHKライングループの1社、東京九州フェリー(北九州市)は21年7月、新門司港(同市)―横須賀港(神奈川県横須賀市)に新航路を開設。大型高速フェリー2隻を導入して定期運航を始めた。片道約21時間で客員輸送をはじめ、冷蔵冷凍を要する食品輸送に対応。荷物を積んだトラックを高速フェリーで目的地に搬送する。

 「近年フェリーはトラックを乗せ、道路に並走して貨物を搬送する“海のバイパス”の側面が強まっている」と同社。物流ドライバーの残業規制強化が間近に迫っていることからも長時間運転を要さないフェリーの強みを押し出し、需要の取り込みを図っている。

みなと新聞本紙2022年9月30日付の記事を掲載