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【無料】基礎から分かる水産用語<118> ブルーカーボンとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

ブルーカーボンとは

 海藻や海草、植物プランクトンなど海洋生態系が光合成をする過程で吸収し、海中に固定化される炭素のこと。森林などに固定化される炭素がグリーンカーボンと呼ばれることに対し、2009年に国連環境計画(UNEP)が命名した。

 ブルーカーボンを吸収・蓄積する海洋生態系は、ブルーカーボン生態系と呼ばれる。同生態系はホンダワラなど胞子で繁殖する「海藻藻場」と、アマモなど種子で繁殖する「海草藻場」、熱帯や亜熱帯の河口で育つ「マングローブ」、ヨシなどの塩生植物が繁茂する「干潟(湿地)」の4つに分類される。これら生態系が二酸化炭素(CO2)を取り込むことが、地球温暖化対策に役立つとして期待が高まっている。

 国際環境経済研究所によると、日本国内の同生態系は19年時点で年間132万トンのCO2を吸収している。内訳は海藻藻場が約50%で、海草藻場が約25%、マングローブが約15%、干潟が約10%と続くが、吸収量が最多の海藻藻場は、海水温上昇や食害で磯焼けとなり消失が進んでいる。

 近年では、温室効果ガスを排出する企業などが、同ガスをブルーカーボン生態系を通じて吸収・削減する企業などに対してお金を支払う「ブルーカーボンクレジット制度」の取り組みもスタート。同生態系を守り、増殖させることが世界全体で求められている。

みなと新聞本紙2023年5月30日付の記事を掲載