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【無料】基礎から分かる水産用語<53> 未利用魚とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

未利用魚とは

 定義はさまざまだが、サンマやマアジといった一般的に市場流通する魚種とは異なり、一般的に市場で値が付きにくい魚、また産地周辺など一部の地域のみで流通する“低利用魚”を指す。魚体サイズがそろわない、数量がそろわずロットがまとまらない、独特の臭みがあり処理が難しい、鮮度落ちが早く市場流通に適さない―などが理由にある。一例としてはアイゴやカナガシラ、モウカザメの正肉などが挙げられる。なお、未・低利用魚は飼料などの非食用として用いられるケース、また低価格帯で取引されるケースも多い。

 近年、未・低利用魚を活用した商品開発に取り組む動きが広がっている。回転寿司大手のくら寿司は長崎県と宮崎県で水揚げしたニザダイを使った寿司を開発した。食品のサブスクリプション(定額制)サービスを展開するオイシックス・ラ・大地は、宮城・気仙沼産モウカザメの正肉を使った竜田揚げのミールキットなどを開発し、期間限定で売り出した。

 未・低利用魚の活用は食品ロス削減をはじめ、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献にもつながる。水産庁加工流通課は「3月に策定した水産基本計画では、天然魚や養殖魚を問わず資源を有効活用していく方針を示した。未・低利用魚の有効活用による魚食普及や消費拡大に期待している」と話す。

みなと新聞本紙2022年9月27日付の記事を掲載