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【無料】基礎から分かる水産用語<58> 全国豊かな海づくり大会とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

全国豊かな海づくり大会とは

 水産資源の保護、管理と海や湖沼・河川環境保全の大切さを広く国民に訴えるとともに、つくり育てる漁業の推進を通じて日本の漁業の振興と発展を図る大会。1981年に大分県で初開催してから毎年開かれる。豊かな海づくり推進委員会と都道府県が組織する実行委員会によって運営され、例年、天皇陛下のご臨席が恒例で三大行幸啓の一つに数えられている。

 高度成長期に沿岸の埋め立てや水質汚染などによる資源減少が起こる中、環境保護の重要性を訴えた「放魚祭」を発展させた。直接的には、80年に漁船での海難事故の遺児を励ます集いを開催した際に、当時の全漁連会長が皇太子殿下(現上皇さま)に「放魚祭」を充実させ毎年行いたいと提案し、理解を得たことから始まったという。

 現在まで39道府県で開催。海と河川や陸域のつながりを広く知ってもらうため、滋賀や奈良、岐阜のような内陸県でも実施している。

 当日は天皇陛下や参加者らによる一斉放流や海上歓迎、功績があると認められた団体への表彰などが行われる。会場以外で関連行事なども。大会ごとに公式マスコットキャラクターがいる。減少が進む水産資源の保護、回復運動への機運を高める狙いもある。「多くの国民に豊かな海の大切さや安全安心でおいしい水産資源、環境について発信し水産業の振興を図る」とJF全漁連担当者。

みなと新聞本紙2022年10月14日付の記事を掲載