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【無料】基礎から分かる水産用語<212> 食料安保とは

みなと新聞で毎週火曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。

みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


食料安保とは

「食料安全保障」の略。「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態」を指す。政府が2024年5月に成立させ、6月施行した改正食料・農業・農村基本法で定義した。

 農林水産省は改正のポイントについて「食料安全保障を明確に定義した。また、定義の中に“国民一人一人がこれを入手できる状態”という文言を加え、食品アクセス問題も踏まえた内容になった」と説明した。同省ホームページによると、高齢者などを中心に食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる「買物困難者」が増えており、「食品アクセス問題」として社会的な課題になっている。

 また、同法では食料安保の確保のため、国内の農業生産の増大を図ることを基本としつつ、安定的な輸入および備蓄の確保を進める旨を記載している。また、改正に当たって第2条4項を新設しており、海外輸出を図ることで、農業・食品産業の発展を通じた食品の供給能力の維持を目指す旨をうたっている。

 国連食糧農業機関(FAO)によると、世界人口のうち、慢性的な飢餓に直面している割合は22年時点で9・2%に上った。20年に割合が急上昇し、19年より1・3ポイント高い結果になった。世界の飢餓状況はコロナ禍前を上回る水準で推移しているという。

みなと新聞本紙2024年7月9日付の記事を掲載