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【無料】基礎から分かる水産用語<143> 渚泊とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


渚泊とは

 漁村地域の観光資源を活用した漁村への滞在型旅行を指す。「なぎさはく」と読む。水産庁によると、古民家や廃校に「泊まる」、磯やお祭りで「遊ぶ」、新鮮な食材や伝統料理を「食べる」、漁業や加工品作りを「体験する」、きれいな海や青い空を「見る」―など、漁村の資源を活用したさまざまな体験ができる。同庁は「地域雇用の創出や地域経済の活性化も期待できる」とし、全国的な渚泊の取り組みを推進している。

 渚泊は、農林水産省が推進している農山漁村への滞在型旅行「農泊」のうち、漁村地域に滞在するものを指す。同省は今年度、ハード・ソフト両面から農泊や渚泊の取り組みを支援するため、農山漁村振興交付金のうち「農山漁村発イノベーション対策(農泊推進型)」を展開した。

 同省によると、同交付金による農泊推進の地域に採択されて農泊に取り組む地域は2022年度末で全国621地域。同省は農泊の具体例を紹介しており、うち渚泊は三重県鳥羽市・相差地域の海女文化を発信する取り組み、兵庫県姫路市・家島諸島の漁業を主力コンテンツとした食や体験プログラムなどを載せる。

 水産庁は21年、「漁港漁村における交流の推進に向けた基本構想」と全国各地で渚泊に取り組む団体に向けて「渚泊取組参考書」を作成した。現在ホームページ上で公開している。

みなと新聞本紙2023年9月1日付の記事を掲載