見出し画像

【無料】基礎から分かる水産用語<38> 直荷取引とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

直荷取引とは

 仲卸業者が卸売業者(大卸)を通さず、産地やメーカーなどから直接商品を仕入れること。生産量や受注ロットが少ない品物、特殊な商材など大卸が取り扱わない商品を調達する場合などに用いられる。近年は消費者ニーズの多様化などを背景に増加傾向にある。農水省によると、全国の中央卸売市場における水産物の直荷引きは2019年度、買受人の仕入れ割合(金額ベース)の22%に及んだという。

 直荷引きは20年施行の改正卸売市場法に基づき、市場開設者が設定したルールに従って行われる。中央卸売市場の仲卸はこれまで大卸を通す取引を基本とし、直荷引きは農水省が定める例外規定の該当ケースでのみ運用されていた。法改正後は一部自治体が従来通り「原則禁止」を維持する一方、大半の市場は「事後報告」の条件付きで容認する方針に切り替えている。

 例えば仙台市中央卸売市場では、開設者の市が20年6月に同市場の業務条例と業務条例施行規則を改正。これまでの原則禁止から、場内業者や学識経験者でつくる市場取引委員会の調査・審議を経て、仙台市長の承認を受けた場合のみ、直荷引きを自由に行えるようになった。承認を受けた事業者は法人・個人にかかわらず、一定期間ごとに事業報告書の提出が義務付けられる。

みなと新聞本紙2022年7月29日付の記事を掲載