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【無料】基礎から分かる水産用語<144> 蔵前価格とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


蔵前価格とは

 冷凍、冷蔵庫(蔵)に保管された製品を遠方のメーカーや商社などが買い付ける際、販売側が提示する運送費やトラックのチャーター費といったもろもろの経費を含まない製品価格。主に冷凍品を取り扱う企業や部署で使われる。蔵前価格に基づき形成される相場は蔵前相場と呼ぶ。

 卸筋によると、水産業界では遠方から製品を取り寄せる場合、購入者が運送費などの経費を負担するのが一般的。例えば青森市のある事業者が冷凍ベビーホタテを蔵前価格1キロ当たり1800円とし、東京・豊洲の事業者が買い付けたケースを考えると、1キロ当たり1800円の品代に青森―豊洲の運送費などを加算した形で豊洲の事業者に支払いが発生する。

 このため多くの事業者が蔵前価格を基に、買い付ける数量や輸送形態などを決める。ある卸売市場関係者は「製品のサイズや箱の大きさで運送費は変わる。買い付ける側は蔵前価格と、パッケージやスケールメリットなどを考慮した上で、より効率的な入手手段を考える」と話す。

 また、複数の卸売市場関係者によると、蔵前価格という言葉が使われるシーンは流動的。冷凍品を扱う現場で使用されることが多いが「鮮魚関係の部門で使っている職員もいる。市場や品物ごとに違いがあるようだ」と指摘する。

みなと新聞本紙2023年9月5日付の記事を掲載