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【無料】基礎から分かる水産用語<5> 沖合漁業とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

沖合漁業とは

 日本近海で1日から数週間かけて行う漁業。大西洋やインド洋など遠方の海域に長期間出漁する遠洋漁業と日帰りの範囲で行う沿岸漁業の中間に位置付けられる。一般的に総トン数20~150トンの動力漁船を利用し、主要漁法には底引網や大中型巻網、一本釣、母船式捕鯨などがある。

 沖合漁業は記録が残る1965~2020年に国内の漁業種別生産量の中で最も大きな割合を占めてきた。日本の漁業が興隆期を迎えた1975年以降は漁船漁業生産量の5~6割ほどで推移。ピークの84年には生産量が沖合漁業単体で約696万トンに達したが、その後は主要魚種のイワシやサバ類の減少で規模が縮小。2020年の生産量は約204万トンだった。

 漁船漁業の中核を担う沖合漁業だが、近年は海技士の高齢化や人手不足への対応が喫緊の課題となっている。

 水産庁がまとめた20年度水産白書によると、20トン以上の船で漁業を営む場合、各漁船の総トン数に応じて船長や機関長など海技免許取得者が乗船する必要があるが、就業の多様化や縁故採用などの慣習により必要な人材を確保しにくい現状があるという。国は関係機関と連携し、就業相談会や水産高校への働きかけをはじめ、免許取得を支援する研修や取得費用の助成などを実施。乗組員確保に向けた取り組みに力を注いでいる。

みなと新聞本紙2022年3月29日付の記事を掲載