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【無料】基礎から分かる水産用語<215> 長良川システムとは

みなと新聞で毎週火曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。

みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


長良川システムとは

 岐阜県を流れる長良川と特産品のアユを取り巻く人々の暮らしや水環境、漁業資源が深く関係し、成り立つ仕組み。このシステムが評価され、「清流長良川の鮎」が2015年12月、国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産(GIAHS)に認定された。

 長良川は日本三大清流の一つとされ、川と人とが深く関わり暮らしを豊かにする里川として古くから親しまれてきた。現在でも全長166キロの流域には自然豊かな森から都市部まで約86万人が生活している。

 GIAHSに認定されたのは長良川の同県上中流域(郡上市、美濃市、関市、岐阜市)。清流で育つアユを中心に、鵜(う)飼いや友釣り・瀬張り網漁などの伝統漁法、文化が生まれ、森や川を守るための植林や河川清掃などが続けられている。澄んだ水は美濃和紙などの伝統文化を生んだり多くの生物を育んだりしており、アユは長良川システムの象徴となっている。伝統的な農林水産業や独自の文化、生物の多様性などが世界的に重要と認められる地域と認定された。

 県などはGIAHSや長良川システムの意義をPRし、県産アユへの関心を高めてもらう目的で、7月の第4日曜日を「GIAHS鮎の日」と定めている。今年も流域4市を中心に、アユのつかみ取りや友釣り体験など清流やアユに親しむイベントを実施した。

みなと新聞本紙2024年7月30日付の記事を掲載