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【無料】基礎から分かる水産用語<184> 反ダンピングとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


反ダンピングとは

 輸出国の国内価格よりも低い価格による輸出(不当廉売輸出)が輸入国の国内産業に損害を与えている場合に、その価格差に相当する関税を課すことができる措置。世界貿易機関(WTO)協定で認められた貿易救済措置で、アンチダンピング(AD)とも呼ぶ。

 経済産業省特殊関税等調査室によると、AD措置を講じればダンピング品の輸入数量の減少や国産品の国内価格・販売数量の回復が期待できる。

 日本では国内生産者(申請企業)の申請後、同省や財務省などで構成する調査チームが調べ、要件を満たせば発動する。調査期間は原則1年で最大18カ月。調査結果を踏まえ、税率は調査対象国の企業ごとに決まる。課税期間は原則5年以内だが延長も可能だ。

 AD措置が発動するには①ダンピング輸出②国内産業への損害③両者の因果関係―の3要件を満たす必要がある。①についてダンピングマージン(不当廉売差額)率は輸出国における国内販売価格(正常価格)から対日輸出価格を差し引いた金額を、対日輸出価格で除して算出する。②は輸入量の推移や国産品価格への影響、損害指標について検証し認定する。

 同調査室によると、国内では水産品にAD措置を講じたことはない。なお、米国ではエクアドル産とインドネシア産の冷凍暖水系エビへのADの課税に向け、米国商務省や米国国際貿易委員会が現在調査中だ。

みなと新聞本紙2024年2月9日付の記事を掲載