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【無料】基礎から分かる水産用語<129> アクアポニックスとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

アクアポニックスとは

 水産養殖(アクアカルチャー)と水耕栽培(ハイドロポニックス)を組み合わせた循環型農業システム。養殖する魚の排せつ物をバクテリアが栄養素に分解し、野菜はその栄養を養分にして成長する。水は植物の生育で浄化し、循環利用するため排水の必要はない。無農薬・無化学肥料・無除草剤を取り入れているため有機野菜を栽培できる。また、生産した食材は米農務省(USDA)の有機認証取得も可能だ。

 アクアポニックスの導入支援などを行うアクポニ(横浜市)によると、育てられる主要な魚は、テラピアやホンモロコ、チョウザメなど食用淡水魚が中心。海水魚に関しては実験過程にある。植物はリーフレタスなど葉物野菜に加えハーブ、トマト、キュウリ、ナスビなども栽培できる。

 アクアポニックスは、環境負荷を低減した持続可能な農業として認知度が向上しており、ゲーム会社などさまざまな業種からの新規参入が相次いでいる。日本最大級のアクアポニックス施設として給排水設備のアクアテック(愛知県津島市)は、「つなぐファーム」を同県愛西市に建設し3月22日に始動させた。

 また、子どもたちに自然界のサステナブルな循環の大切さを伝える目的として、大阪府と大阪市は2025年に開かれる大阪・関西万博でアクアポニックスを展示する。

みなと新聞本紙2023年7月7日付の記事を掲載