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【無料】基礎から分かる水産用語<196> 発泡スチロールとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


発泡スチロールとは

 合成樹脂素材の一種。一般的に発泡スチロールと呼ばれるものには製法や用途の違いによりEPS、PSP、XPSの3種類ある。EPSを取り扱う団体の発泡スチロール協会によると、発泡スチロールは石油から作られたポリスチレンを小さな粒状にした原料ビーズを約50倍に発泡させて作る。製品体積の約98%が空気で原料は2%の省資源な素材という。

 発泡スチロールは1950年にドイツで開発され、日本では59年に国産化。当初はコルクの代替品として冷凍冷蔵用に使われたが、生鮮食品の輸送箱や緩衝材、住宅建材など徐々に幅広い用途で使われるようになった。

 2021年のEPS原料出荷量は12万7700トンで、そのうち51・4%の6万5671トンが容器、32・6%が緩衝材・部材・その他、16%が建材・土木となっている。

 魚箱としては1966年ごろに加工用が開発された。鮮魚用では木箱が主流だったが、木材の高騰や流通手段の変化により67年ごろからカツオやイワシなどの鮮魚箱として穴あき発泡スチロール魚箱が使用され、その後ふた付き魚箱が開発された。鮮度保持に優れ、水を通さず軽くて丈夫な特性から需要は急拡大した。

 使用済み発泡スチロールはさまざまな方法で再利用され、約9割の高い有効利用率を維持。世界的にもリサイクルの動きが進んでいる。

みなと新聞本紙2024年3月26日付の記事を掲載