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【無料】基礎から分かる水産用語<103> バレニンとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

バレニンとは

 鯨肉に特異的に多く含まれるイミダゾールジペプチドの一種。疲労回復やストレス軽減作用効果が報告されており、近年注目を集めている栄養源として知られる。

 日本捕鯨協会などによると、回遊する鯨の多くが繁殖のため冷たい海の餌場から数千キロ離れた暖かい海へ半年ほどかけて移動し、ほとんど餌をとらずに子育てに励む。このような驚異的なパワーの源が鯨が大量に持つバレニンだと考えられるという。

 バレニンはナガス鯨やミンク鯨、イワシ鯨などの赤身に多く含まれている。抗疲労効果の他に認知機能維持や筋肉増強の可能性があることも分かっている。

 バレニンを研究する湘南医療大薬学部の塩田清二教授は2月の講演で、心身の疲労状態にあるアスリートのバレニン摂取は疲労感を軽減させ運動機能を向上させるとする研究成果について説明した。

 「『運動とバレニン摂取の併用』は骨格筋の肥大を促進し、効果的な健康増進に寄与できる可能性がある」などと述べた。

 捕鯨、鯨商品の販売を行う共同船舶はバレニン効果のPRを進める。加熱により分解されるアミノ酸だが、バレニンは加熱による減少が5%以下と考えられるため生食以外でも十分に摂取できるとしている。

みなと新聞本紙2023年4月4日付の記事を掲載