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【無料】基礎から分かる水産用語<193> 藻場とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


藻場とは

 沿岸の浅場に海草、海藻類が繁茂する場所のこと。海藻類のうち、ワカメやコンブ、ノリ、ヒジキ、モズクなどは食用として流通している。環境省が実施した藻場調査(2018~20年度)の結果によると、一部閉鎖性海域などを除いた国内の藻場分布面積は1643・4平方キロ。そのうち、約6割が四国から九州沿岸海域と北海道沿岸海区に広がっている。

 水産庁によると、主な藻場の種類として、内海の砂泥に茂る海草のアマモで構成する「アマモ場」、黒潮の流れを受ける沿岸域に発達する海藻類から成る「アラメ・カジメ場」、瀬戸内海などに生育する褐藻類のホンダワラ属からできる「ガラモ場」がある。

 藻場は魚介類の食物連鎖を支えている。海藻や海草の葉上にはプランクトンを食べる小型の貝類が多く生息し、藻場で身を隠す稚魚がこれらを食べ、群がる稚魚を求めて大型魚が集まる。また近年、二酸化炭素(CO2)を吸収・貯蔵することから、気候変動対策に貢献する「ブルーカーボン生態系」としても国内外から注目を集める。

 一方、国内では磯焼けによる藻場の減少が進む。こうした中、全国の漁協で漁業者による藻場の保全活動が実施されている。その一例として胞子を周辺に供給する母藻の設置、ウニや食植性魚類など食害生物の駆除がある。

みなと新聞本紙2024年3月15日付の記事を掲載