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【無料】基礎から分かる水産用語<125> 一夜干しとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。

みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

一夜干しとは

 干物の一種で、開いて内蔵を取り除いた魚やイカなどの魚介類に塩をふり、夜の間や日陰で干したもののこと。現在は機械で冷風を当てて作るのが主流となっている。日光に当てて干したものは天日干しと呼ばれる。一夜干しは一般名詞であり、法律的な定義などはないという。

 風通しの良い場所で低温なままゆっくり乾燥させるため、水分が適度に残り、身が酸化しにくい。そのため軟らかく仕上がり、焼くとふっくらとした食感となる。また、水分が抜けるため生に比べてうま味が凝縮する。干す際に直接太陽光に当てないため、味わいなどにむらができにくく製品の質が均等になりやすいのも大きな特徴だという。

 天日干しは太陽光と風を利用して作るため、一夜干しよりも水分が抜けやすく弾力のある歯応えになる。また、太陽の光により生の状態に比べカルシウムや各種ミネラルなどの含有量が増えるという。イワシやアジの丸干しのように、開かないで干すタイプもある。

 一夜干しは魚ではアジやサバといった青魚やハタハタ、ノドグロ(アカムツ)といった白身の魚、スルメイカなどのイカ類が使われることが多い。

 干物は水分の抜き具合によって全乾品と半乾品に分けられている。ある程度水分が残っている一夜干しは半乾品で保存が利かないため、冷蔵保管が必要となっている。

みなと新聞本紙2023年6月23日付の記事を掲載