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【無料】基礎から分かる水産用語<149> 漁網とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


漁網とは

 水生生物を捕獲するのに使われる網のこと。漁業で使われる漁具の一種で、漁網を使う漁労活動を網漁という。かつては麻や綿など植物繊維で作られていたが、現在は合成繊維が主流となっている。漁獲する魚種や漁法によってそれぞれ異なる特徴があり、使い分けられている。

 主な種類としては建網類、刺網類、引網類などがある。養殖に使ういけす網や主に内水面漁業で使われる袋網も含まれる。網目の大きさを調整することで漁獲サイズを限定し、資源保護につなげることもできる。

 漁網は重さのある材料と軽い材料を組み合わせてできている。網が海中でうまく動くように、重い材料は網の下部に使われ、軽い材料は浮力を持たせるために上部で使われる。

 合成繊維は天然繊維に比べ丈夫で耐用年数が長いという利点がある。一方で、流出したり捨てられた場合、魚やカニなどの生物が引っかかって死ぬ「ゴーストフィッシング」を引き起こす問題もある。海中を漂う漁網がサンゴや貝などに引っかかり殺してしまうこともあり、生物的、経済的損失にもなっている。

 環境省の調査によると、海の漂着ごみのうち漁網・ロープが重量比で42%を占めるという。これらの問題に対して、漁業者や水産会社、各国政府、環境団体などが解決に取り組んでいる。

みなと新聞本紙2023年9月22日付の記事を掲載