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【無料】基礎から分かる水産用語<128> 歩留まりとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

歩留まりとは

 製造業での本来の意味は「使用した原料に対する、得られた生産量」だが、水産業では丸魚のうち、頭や内臓などを除いた可食部の重さの割合(歩留まり率)を指す。基本的にアラやカマは可食部として数えない。

 東京都中央卸売市場は「水産物歩留調査」を1931年に開始。2022年はブリ、カツオ、キンキなど10魚種を、刺身、セミドレス、五・三・二枚おろしのいずれか(1魚種1手法)で計測。キンキのセミドレスが歩留まり率84・2%でトップ、最低は28・4%のカワハギ刺身だった。なお、調査開始以来の最高はマコガレイのセミドレス97%(00年調査)で、最低はホタテの刺身9・8%(1999年)。

 これまでに未計測の魚や組み合わせもあるが、手法ではセミドレスが高く、刺身では低い。その刺身で全期間トップ(62・4%、2000年)のサワラは、やはり全手法を平均しても可食部が多い。

 しかし、セミドレスでのワーストは、全期間・全調理法での1位と同じマコガレイ(69・4%、17年)。この点を豊洲市場水産農産品課は「違う方法でさばいてしまった結果では」と説明。同一の魚種と調理法でも個体によって差が出る、などの結論とはならなかったが、産地や年齢、産卵期、季節で可食部の大きさが変わることは事実。トラフグの「やせ病」など、魚病も影響する。

みなと新聞本紙2023年7月4日付の記事を掲載