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【無料】基礎から分かる水産用語<172> 磯根資源とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


磯根資源とは

 アワビやサザエ、イセエビなど磯根(いそね)で漁獲される魚介類のこと(水産研究・教育機構)。磯根とは、沿岸域の岩礁帯を指す。農林水産省によると、2021年の漁獲量データとしてアワビ類は岩手県(90トン)、サザエは長崎県(817トン)、イセエビは千葉県(221トン)、ウニ類は北海道(3848トン)で最も多く漁獲されている。

 同機構は磯根資源の状況について、地域・浜ごとや生物の種類によって異なるとした上で「アワビ類は各地で藻場の衰退が長期化し、それに伴い漁獲量は減少している」と説明する。

 22年度の水産白書では「磯根資源は容易に採捕できることから密漁の対象とされやすく、組織的な密漁も横行している」と指摘する。白書によると、水産庁は密漁対策のウェブサイトを立ち上げた他、ポスターやパンフレットを作成して配布するなど密漁の防止を図っているという。

 磯根資源を保護するために必要な対策として、水研機構は「それぞれの地域で磯根生物の資源状況を把握し、効果的な資源管理を行うことが大切」と説明。一方で、磯根資源の増減を評価するのに十分なデータが公表されていないとした上で、同機構が調査するデータが今後蓄積されることで「資源状態の把握が進むと考えられる」としている。

みなと新聞本紙2023年12月15日付の記事を掲載